ベトナム人のおうちに行ってみた〜ベジタリアン家庭編〜
2023年5月16日更新
ベトナム人のおうちに行ってみたいですよね……?
外国に旅行した際、観光地やおいしい料理も魅力的ですが……。
実はもっとも興味深いのは、その国で暮らす人の「生活」ではないでしょうか。特に、現地の人が住む「家」。私は外国に旅行する旅、「普通の人の普通の家こそ、一番行ってみたい!」といつも思います。
でも、普通の人の家というのは、観光ツアーでは行けないし、観光客にとってはどこが住宅地さえも分からなかったりして、なかなかハードルが高いものです。
今回私は、ラッキーなことに、私が日本語を教えている学生の実家に招待していただき、1泊2日、滞在させていただきました。
今回のお宅はカオダイ教(ベトナムで最も勢力のある新興宗教)を信仰されていて、家族の方は皆ベジタリアンということで、私も滞在中はずっとベジタリアン料理をいただきました。
ベトナムの一般的なベジタリアン家庭で、どんな料理が食べられているのか、レポートしていきたいと思います。
ベトナムの一般的なベジタリアン家庭の食卓
以前この記事でご紹介した通り、ベトナム人は床で食事をとることも多いです。
しかし今回はテーブルでいただきました。お宅に着いて初めての食事はこんなかんじです。
ベジタリアンというと「質素」「ボリュームがない」というイメージがありますが、パッと見て分かる通り、少なくともベトナムのベジタリアン料理は、全くそんなことはありませせん。揚げたり、豆腐などの植物性たんぱく質をうまく使ったり、味付けのバリエーションを工夫するなどして、「言われなかったら肉が入ってないなんて気づかなかった」というレベルの満足度です。逆に言うと、結構カロリーがありそうな料理もあり、「別にヘルシーではないよな……」とも思います。
では一品ずつご紹介していきます。
こちらは「疑似肉」とか「菜食肉」などと呼ばれるもので、豆腐などをすりつぶして作ったものだそうです。見た目もかなり肉に似せてあります。単体で食べることもありますし、コム(ごはんの上にいろんなおかずがのった、ベトナムの定食的なもの)のトッピングとして少し載っていることもあります。
こちらは、トマトや豆腐の炒め物に、山盛りのパクチーがのったもの。ベトナムでは意外とあまりパクチーを食べないので、久々に山盛りパクチーを目にしました。
こちらはベトナム式菜食カレー。具は、にんじん、じゃがいも、さつまいも、疑似肉、しいたけなどなど。
ちなみに、あまり有名ではありませんが、ベトナムにも「ベトナムカレー」と呼ばれるカレーがあります。ココナッツミルクをふんだんに使っており、さらさらとしている点はタイカレーと似ていますが、ほとんど辛みがなく、ココナッツミルクとサツマイモの甘さが全面に出されています。また、ライスではなくバインミー(ベトナム風フランスパン)をつけて食べるのが一般的です。
菜食料理の中でカレーはかなりメジャーだと思います。こちらもコクがあり大変おいしかったです。
こちらは、出かけた時にいただいた、Bánh Cuốn(バインクオン)という料理です。Bánh Cuốn(バインクオン)というのはベトナム北部発祥の料理で、厚めのライスペーパーにひき肉や刻んだきくらげが入ったもので、味付けはヌクマムなどです。
今回はベジタリアンバージョンで、肉の代わりに豆腐や疑似肉、そしてたっぷりの野菜がのっていました。肉がなくてもボリュームがあり、満足感がありました。
おまけ1 ベトナムの宗教について
ベトナムでは大変菜食文化が栄えていますが、これはベトナムの宗教が関係しています。
ベトナムは、歴史上様々な国と接してきた影響でいろんな宗教があり、仏教、カトリック、プロテスタント、新興宗教のカオダイ教などの寺院・教会が、街中でもよく見受けられます。その中でもやはりメジャーなのは仏教。とはいえ、仏教の方でもクリスマスを楽しんだり、他の民間信仰も取り入れるなど、寛容な捉え方をしている点は、日本と似ています。
ただ、日本人と異なりベトナムの仏教徒は菜食文化を受け入れる方が多いようです。
おまけ2・ベトナムのベジタリアン文化について
ホーチミンは、ベジタリアンがとても多い街で、ベジタリアンのお店も、日本よりずっとたくさんあり、街中でもよく見かけます。
菜食をどの程度生活にとりいれるかは人によって違いますが、今回お世話になったお宅のように毎日完全に菜食という人もいれば、旧暦1日と15日(宗派によっては14日や30日も追加)の菜食日は必ず菜食をする、という人もいます。また、何かお祝い事や嬉しいことがあった時だけ、感謝の気持ちを込めて菜食期間をもうけるという人もいます。
何を食べて何を食べないか、も、人によって異なります。ヴィーガン(卵や乳製品も摂らない)という方もいれば、たまにはケーキを食べてもいいという方もいます(私がお世話になったお宅はこんな感じでした)。
また、非菜食者と食事する場合、そもそもベジタリアン料理屋に行くことを提案する方もいれば、普通の料理屋に行って食卓に肉があっても気にしないが自分は食べない、という方もいます。ベトナムには菜食主義者が多いですし、いろんな点でおおらかなので、周囲の非菜食者とも軋轢が少なく、自然に受け入れられているように思います。
私の周りでは、「お腹が弱いから平日は肉を食べない」とか「この前面接に合格したから、感謝の気持ちを込めて今月は肉を食べない」という学生がいました。本当にいろいろな捉え方の人がいるなあ……と思いました。
ちなみに、前述の旧暦1日と15日の「菜食の日」には、ベジタリアンレストランには行かないことをおすすめします。とても混んでいるためです。
まとめ
以上、ベトナム人のベジタリアン家庭の食卓レポと、ベトナムの宗教、ベジタリアン文化についてご紹介しました。
こちらのご家庭では、とてもおいしくて、ほっとするご飯を食べることができて、よい思い出になりました。
ホーチミンにはたくさんのベジタリアン料理店があり、観光客の方も気軽に行けるお店もあります。関連記事として以下にご紹介しておくので、ぜひチェックしてみてください。
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