ホーチミンに根付くカフェ文化
2023年5月16日更新
ベトナム戦争は1960年から1975年と、約15年間続きました。それより以前は、ベトナムは南北に分かれる分断国家で、それぞれ政権を築いていましたね。19世紀は一重に言って、フランスの植民地時代でした。それもおよそ80年にもわたる長い間です。特に色濃くフランス文化を受けていたのは南ベトナム、現在でいうホーチミンでした。
「フランスの傀儡」とまで言われた南ベトナムの首都サイゴンで、当時大衆の間で花咲いたのが「カフェ」でした。現在もカフェ文化は発展して、お洒落なカフェ、ユニークなカフェなど、さまざまなコンセプトを持ったカフェが、いたるところに点在しています。
路上カフェの時代
1960年以前にはすでに路上カフェが誕生。決してセレブの戯れではなく、当初から庶民的な嗜みとして親しまれていました。現在でも路上カフェは健在。ベトナム人は早朝の出勤前に、路上カフェでコーヒーを一杯飲むのが習慣となっています。特製フィルターでコーヒー液を作るまでの間、デイリー新聞に目を通す。それが大人の男性の朝の嗜みとなっています。
女性もコーヒーを飲まないわけではありませんが、最近の若者の女性はコーヒーよりも「チャースア(Tra sua)」と呼ばれるミルクティーを好む傾向にあります。時代が変われば、好みや嗜好も変わるのは世の常ですね。
路上からオープンエアカフェへと発達
近現代のホーチミンでは、お洒落なカフェをたくさん見かけるようになりました。カフェの多くは屋根なしのオープンエア席。日差しが強い日でも、パラソルを咲かせて影を作れば、案外しのげるものです。特に夜はライトアップがされて、ムードもたっぷり。カップルはもちろん、友達同士やファミリーで気軽に楽しむことができます。
若者の間では、「an uong(アン ウン)」という言葉があります。「an=食べる」、「uong=飲む」。つまり飲食したいということです。もし女性とのデート中、彼女が「an uong」と言ってきたら、それはお腹が空いているという意味ではなく、カフェに行きたいという意味として捉えてください。事前にお洒落なカフェをピックアップしておくと、男性としての株が上がります。
時代が変わればコーヒーも変わる
ベトナムで栽培できるコーヒー豆は、主にロブスタ種でした。ゆえに苦みと焦げた匂いが強く、ブラックで飲むのは苦労していました。ゆえに、ベトナム人はミルクの代わりに練乳を入れて、甘さを強めています。
しかし、最近はダラットのような高地で栽培したり、外国から輸入したりと、アラビカ種も増えてきました。品質がピンキリなのは玉に瑕ですが、安いものであれば、一般所得のベトナム人でも十分手が届く値段です。そして、アラビカ種でコーヒーを挽くカフェでは、練乳とフレッシュミルクを選ぶことができるようになりました。これもコーヒーの発展の一つ。
そして、ここ1、2年で増えてきたのが「自家焙煎のカフェ」です。日本でもカフェ文化は古くからあり、下町風情香る町や商店街の片隅には、決まって一軒は自家焙煎店があるものです。
コーヒーの生豆から仕入れて、焙煎機でローストするところからはじめ、風味豊かな焦げ茶のコーヒー豆は、心をリラックスさせてくれます。
そんなコーヒーを飲めるカフェが、ホーチミンを中心に増えてきました。ホーチミン旅行では、おいしいコーヒーを淹れてくれるカフェを探す、そんな旅もいいかもしれませんね。
おいしいコーヒーのお店
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