ベトナムの歴史を学ぶ。ベトナム戦争とは
2023年5月16日更新
ベトナムに限らず、とくに戦争や内紛などで悲惨な民間犠牲者の多くでた悲しみの歴史をもつ国に旅行にいくときには、その国の歴史を多少は知って、その国の土地や人々の心に残る、悲惨な記憶に対して、敬意が必要です。
ベトナム戦争を辿る
ベトナム戦争ということばを聞いたことのない人はいないでしょう。1965年から本格化したベトナム戦争ですが、血みどろの悲惨な戦闘に、敵味方両方が苦しんだ戦争として、その傷跡はいまも深くのこされています。
もともとベトナムは19世紀から第二次世界大戦後まで、近隣の数か国と合わせて「インドシナ」としてフランスの支配下にありました。この名残は洗練された料理やファッション、カフェ文化などに今も残されていますね。
しかし、大戦中にABC包囲網などで追い詰められた日本が、資源その他を求めてフランス軍に植民地化されていたベトナムのほうまで侵攻しました。そのころ、フランスは自国でドイツに降伏していました。すると、フランスが一時撤退した代わりに、いったんは日本が進駐することとなります。
ところが日本が米国への敗戦を喫して、日本もベトナムから撤退。ベトナムはこれを好機と、ベトナム北部のホー・チ・ミン革命家とその同胞がベトナム独立を宣言します。地名にのこるホーチミンはこの人名からとっています。
南北統一をかけた戦いは、ソ連と米国の戦争だった
しかし、せっかく独立宣言したベトナムですが、おもしろくないのはフランスです。そこで、ベトナム北部にいるホー・チ・ミンたちから離れたベトナム南部に傀儡政権を勝手に樹立します。傀儡(カイライ)とは、いわゆる操り人形。ベトナム政府の裏でフランスが糸を引いていたということです。こうして、ベトナムは南北分断国家となって、お互い対立し始めました。
そのころ世界は社会主義・共産主義がいいのだ、という旧ソ連などの国々と、民主主義・資本主義こそ自由で幸せになれるのだというアメリカのような考えの国々が、実際の戦闘はせずに軍事力を蓄えてはにらみあうという、いわゆる「冷戦」の真っただ中でした。
ホー・チ・ミン氏率いるベトナム北部の思想は、ホー・チ・ミン氏がソ連のスターリンに憧れていたことから、旧ソ連に近いものでした。、南部はフランスの自由主義的思想を受け継いでいました。ゆえに、両者それぞれ、思想を拡大したい旧ソ連とアメリカがそれぞれ南北に支援・味方をしました。
戦闘行為がないから「冷戦」と呼ばれていたはずですが、ここベトナムでは米ソの代理戦争の場となったのです。映画やその他で知られるように、ベトコンに苦労したうえ、本国に帰れば反戦思想に苦しみ、心身ともに病んだ兵士も多く、米国にとってはにがく、つらい歴史となりました。
ベトナム人も米国の使った爆撃で民間人が犠牲になり、また枯葉剤の影響でいまだに障害者も多く、こちらもまた悲惨な歴史が終わっていません。
戦争の結論としては旧ソ連の支援をうけた北部のベトコンの血みどろの戦闘によって、アメリカは撤退し敗戦をします。そして、ベトナムは現在社会主義共和国として現在に至ります。
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