9月2日は『ベトナム独立記念日』ベトナムの国民にとってとても大切な祝日の一つです。2025年9月2日で独立記念日の80周年となります。1945年9月2日の「独立宣言」を記念する日であり、同時に「国の誕生日」ともいえる日です。単なる祝日ではなく、長い植民地支配や戦争を乗り越え得た独立を国民が誇りに思う日であり、政府式典や追悼の意味も込められています。
1. ベトナムの歴史
1940年、第二次世界大戦中に日本がフランスを通じてベトナムに進駐していました。この頃のベトナムの人々は「フランスの植民地」と「日本の軍事支配」が重なる二重支配という非常に苦しい状況にありました。この時期に独立を目指すベトミン(ベトナム独立同盟)がホー・チ・ミンのもとで組織されました。
1945年8月に日本が第二次世界大戦で敗戦しました。それに伴い植民地としていたフランスの権力も弱体化しました。ホー・チ・ミン率いるベトミンはその隙をついて全国で蜂起し、政権を掌握しました。これを『八月革命』といいます。
1945年9月2日にハノイのバーディン広場に数十万人の人々が集まりました。ホー・チ・ミンがアメリカ独立宣言やフランス人権宣言の文言を引用しつつ、「ベトナム民主共和国の独立」を世界に向けて宣言しました。
これが現在の『ベトナム独立記念日』の由来です。
2. ホーチミン市の9月2日の雰囲気
建国記念日のホーチミン市は、普段とはまったく違う姿を見せます。
街を彩る国旗
大通りや公共施設、オフィスビルは赤い背景に黄色の星が描かれた国旗で飾られ、街全体が祝祭ムードに包まれます。
華やかなイベント
グエンフエ通りや統一会堂周辺では、パレードや音楽、伝統舞踊のパフォーマンスが行われ、街は熱気にあふれます。
夜空を彩る花火
サイゴン川沿いや高層ビルから眺める花火は圧巻で、地元の人々と一緒に盛り上がることができます。
3. 観光客のための特別な体験
建国記念日にホーチミン市を訪れる旅行者は、以下のような特別な体験を楽しめます。
歴史的スポットを巡る
統一会堂やホーチミン市博物館では特別展示が行われ、独立の歴史を深く学ぶことができます。
伝統芸能を楽しむ
街の広場では無料の音楽ライブや伝統舞踊が披露され、観光客も気軽に参加できます。
祝祭グルメを堪能する
フォーやバインミーなどの定番料理に加え、祝祭の雰囲気を楽しめる特別メニューを提供するレストランや屋台も多くあります。ホーチミンの街全体が活気づく中で、地元の味を堪能することができます。
花火を楽しむおすすめスポット
ベトナム最大級の花火を眺めるなら、特別なロケーションがおすすめです。
Oriental Pearl – 高級レストランからのパノラマビュー
The Cloud(Landmark 81内) – ベトナム1高いビルにあるバー
M Bar(ホテルMajestic内) – サイゴン川を正面に望む絶景
Chill Sky Bar – モダンな雰囲気で人気のナイトスポット
Elisa Floating Restaurant – サイゴン川に浮かぶレストランでのロマンチック体験
4. 旅行者への注意点
非常に大きなイベントであるため気を付けなければいけない点も多々あります。いくつか紹介していきます。
渋滞・交通規制
独立記念日に伴い、9月1日から9月2日にかけて中心部や主要道路の交通整備が実施されます。ほとんどの車両が通行禁止になるエリアもあります(一部例外)。公共交通機関の迂回、遅延、混雑が予想されます。また、タクシー・バイクシェア・配車アプリ(Grabなど)の利用が困難になったり料金が割り増しになることも予想されます。徒歩移動を中心に計画を立てることをおすすめします。
通行止めエリア
・1区中心部:レロイ通り、ドンコイ通り、ハムギー通り、グエンティップ通り など
・川沿いエリア:トン・ドゥック・タン通り、グエン・タット・タン通り、バソン橋、カインホイ橋 など
防犯・安全
非常に多くの人が来るため混雑が予想されます。そのような場所では置き引きやスリ、バイクによるひったくりが起こりやすくなります。そのため荷物の管理が簡単にできるように必要最低限の物だけ持ち、荷物をコンパクトにして貴重品はしっかり管理などできるだけ注意を払いましょう。
群衆のパニック
花火を見に多くの人が一部エリアに集まります。過去の例で、打ち上げ花火終了後に一気に人が動いて押し合いになる事例もありました。押しつぶされたり転倒の恐れがあり危険です。ですので、小さなお子様や年配の方はお気を付けください。早めの退散や遠くからの鑑賞が安全に楽しむことが出来ます。
お店の営業
小規模のレストランや小規模のカフェは臨時休業や早仕舞いの場合があります。下調べを念入りにしておくと良いでしょう。逆にチェーンの店舗(Highlands Coffee、KFC、コンビニなど)は通常営業をしている店舗が多いです。また、観光地付近の屋台やホテルなど価格が普段より高額に請求される可能性があります。
気候や体調管理
夜でも30°近く気温があり、湿度も高いです。人混みでさらに蒸し暑くなり、熱中症や立ちくらみの恐れがあります。倒れても人が多いためすぐには救急車が到着しない場合があります。水分補給・塩分補給を忘れずに行ってください。また、9月は雨季です急なスコールがあります。カッパや折り畳み傘を持っていると安心でしょう。
トラブル
独立記念日前後は若者や労働者を中心に夜遅くまで飲酒する人が普段よりも増えます。路上での口論や小競り合いが発生する可能性があります。夜中に一人で歩いたり路地裏に行くことを避けて不必要に外にいることのないようにしましょう。音楽や花火によって夜遅くまでにぎやかなので、ホテルによっては眠れないくらい騒音の可能性もあります。
5. まとめ
ベトナム建国記念日(9月2日)は、単なる休日ではなく、国全体が誇りを分かち合う大切な一日です。
ホーチミン市でこの日を過ごすことで、旅行者は歴史と文化を深く理解し、現地の人々と一緒に祝祭の喜びを体感できます。日本から訪れる皆さんにとっても、忘れられない旅の思い出となるでしょう。
ただし、交通規制・犯罪・トラブル・気候などへの注意が不可欠です。事前に予定を立てて安全第一で楽しんでください。
