ホーチミン・コロニアル建築8選〜観光から老舗ホテルの見所もご紹介
2023年5月16日更新
目次
ホーチミンのコロニアル建築を見て回ろう!
ベトナム最大の都市・ホーチミン。この街は、アジアらしい屋台や、パワフルなバイクの群れが見どころでもありますが、同時にフランス植民地時代の名残であるヨーロッパ風の美しい建物も数多く残っています。その様子は「プチパリ」とも称され、多くの観光客がコロニアル建築を見に市街中心部を訪れています。
今回の記事では、コロニアルな雰囲気が残る建物や街並みを8つご紹介します。ゆっくりと散歩しながら、歴史ある風景を眺め、ホーチミンの街を感じてみてください。
ホーチミンのコロニアル建築1:サイゴン大教会(聖母マリア教会)
ホーチミン市中心に建つ、ホーチミンのシンボルの一つとなっている教会です。ネオゴシック様式のカトリック教会で、高さ60mある二つの尖塔が特徴的です。
フランス植民地時代の19世紀末、フランス人がミサを行う場所として、建築家ジュール・ブラール氏によって設計されました。材料は全て、フランスから輸入されたそうです。
現在は改修中のため、教会内部はカトリック教徒のミサ以外では入ることができません。
(ちなみに内部は荘厳なステンドグラスで飾られているそうです)。ただ、外観だけでも十分楽しむことができます。建物横には、幾何学模様の通気口があります。高温多湿なベトナにおいて、風通しを良くするために工夫されたものだとか。
教会の前には聖母マリア像が建てられています。こちらの高さは4.6m。イタリア人彫刻家によってつくられたものが、ホーチミンに運ばれてきたそうです。ちなみに、2015年、こちらのマリア像が涙を流したといううわさが出回り、マリア像周辺で交通渋滞になるほどの見物客が訪れたそうです。
聖マリア教会 Notre Dame Cathedral Saigon
住所:1 Cong Xa Paris St. Dist.1. Ho Chi Minh
ホーチミンのコロニアル建築2:中央郵便局
聖マリア教会のすぐ横にあるのが、1981年に創立された、サイゴン中央郵便局です。この2つの建物が立ち並ぶ周辺の街並みはまるでフランスのようで、通りの名前も「Cong Xa Paris」と言います。
フレンチコロニアルの代表作として有名なスポットであり、外観は、フランス・パリのオルセー駅(現在はオルセー美術館)の駅舎をモデルにしています。設計したのは、エッフェル塔でも有名なギュスターブ・エッフェルの会社です。外観、大きな時計のすぐ下に書いてある西暦、1886~1891年が、施工年となります。現在は、橙色の外観となっていますが、これは2015年に塗り替えられたもので、この外観の塗り替えに関しては、市民の大半が反発をしたそうです。
外壁にはフランス著名人のレリーフが施されており、名前も刻まれています。ちなみに、屋根がインドシナ式で、和洋折衷スタイルです。
内部は奥行きのあるアーチ状になっていています。大きなホー・チ・ミン氏の肖像画がかかっています。
入って右側には、1892年当時のサイゴンの地図がかかっており、今のホーチミンとの発展の差が分かります。中央郵便局は当時、ベトナムとフランス、および周辺の統治国と通信するための重要な拠点だったそうです。
おしゃれな足元のベトナムタイルにも注目。
なお、こちらの中央郵便局は観光スポットであるとともに、もちろん現役の郵便施設としても活躍しています。こちらからは、手紙やはがき、荷物などを送ることができますので、多くの観光客が家族に向けてはがきを書くスペースももうけられています。こらを訪れた際には、旅の記念にぜひいかがでしょうか。
中央郵便局 Saigon Central Post Office
住所:2 Cong Xa Paris St. Dist.1. Ho Chi Minh
ホーチミンのコロニアル建築3:オペラハウス(市民劇場)
ホーチミン観光の中心であるドンコイ通りに位置している、ホーチミンで最も有名なコロニアル建築の一つです。地元の人の間では「市民劇場」とも呼ばれています。
南側にはカラベルホテル、北側にはコンチネンタルホテル、ホテルパークハイアット、西側にはユニオンスクエアと言ったフランス風の建物が立ち並んでおり、この辺りがホーチミンの中で最も「プチパリ」らしい風景となっています。
このオペラハウスは、フランス統治中の1897~1899年、フランス人建築家のウジェーヌ・フェレによって設計されました。パリのオペラ座「ガルニエ」を模した造りとなっています。様式はバロック建築で、フランス第二帝政~第三共和制ごろの影響を受けているそうです。正面にある2体の女神像はよく見ると柱になっています。これはカリアティードと呼ばれる様式だそうです。
ちなみにフランスにおける都市設計では、「ビスタ」と呼ばれる、主要な通りの起点にランドマークとなる建築物を配置するという考え方があり、このオペラハウスもそれに基づき建てられました。
ベトナム戦争中は南ベトナム政府の国会議事堂として使われていました。戦争で建物は損傷しましたが、現在は修復されました。
通常は閉館しており、建物の前が集合場所として使われていたり、外観が写真撮影に使われたりと、観光客でにぎわっています。もちろん、オペラやコンサート、ベトナムの暮らしの様子を伝えるサーカス「アーオーショー」など、様々なイベントが催されているので、チケットを購入すれば中に入ることができます。
オペラハウス Ho Chi Minh City Municipal Theatre
住所:7 Cong Truong Lam Son, Ben Nghe, Quan 1
ホーチミンのコロニアル建築4:ホテル・マジェスティックサイゴン
ドンコイ通りの端、サイゴン川のほとりに建つ、ホーチミンを代表するコロニアルホテルです。ホーチミンには、4大コロニアルホテルと呼ばれるホテル群(マジェスティック、コンチネンタル、グランド、レックス)がありますが、最も格式があり、またホーチミンで初めて5ツ星ホテルに認定されたのもこちらのホテルです。「1 Đồng Khởi」という潔い住所に歴史を感じます。
現在の外観はこんな様子ですが、建設当時は当初はアールヌーボー様式でした。開業以来、外観、内部とも数回の改装を経て、現在の形に至っています。
1925年、中国系ベトナム人のオーナーにより建てられたこのホテルは、数奇な運命をたどっています。初期は植民者であるフランス人たちの社交場であり、パリの社交界がここに持ち込まれました。その後1941年に日本軍が進駐した際は、日本政府に貸し出され、「日本ホテル」という名前になり日本軍の兵舎として使われました。第二次大戦、ベトナム戦争を見届けたこのホテルは、1994~95年、ほぼ丸一年かけてのリノベーションを経て、現在に近い形となりました。
ちなみに、『ベトナム戦記』で有名な作家、開高健は、1964年から65年にかけてサイゴンに滞在していましたが、その際に使用していたのがこのホテルの103号室でした。現在でもこの部屋は開高健ルームとして宿泊可能で、日本人を中心に人気の部屋となっています。こちらは103号室についているプレートです。ホーチミン有名5つ星ホテルが最大76%OFF宿泊客以外でも、ロビーに立ち寄ることは可能です。ロビーにはアフタヌーンティが楽しめるカフェや、夜のサイゴン川を眺められるバーもありますので、ぜひ利用してみてください。
ホテル・マジェスティックサイゴン(Hotel Majestic Saigon)
住所:1 Đồng Khởi, Bến Nghé, Quận 1
ホーチミンのコロニアル建築5:Phuong Nam - the 35-million-dollar house
3500万ドル(約753億ドン)で売られたとして、話題にのぼっている建物です。
フレンチコロニアル様式の屋敷で、ホーチミンの中心部に位置しています。敷地面積は2900平方メートルほど。Vo Van Tan 通り、Ba Huyen Thanh Quan通り、 Nguyn Thi Dieu通りという、ホーチミンの主要な通り3本に面している一等地にあるため、建物のみならず土地の価値だけでも相当なものと思われます。
この建物を買ったのは、ホーチミンにある合資会社で、重要建築物の保存や観光が目的だそうです。はじめはこの合資会社は名前を公表したがらなかったそうで、そのため、外国の企業が購入したという誤ったニュースが流れ、投資目的ではないかというような憶測も広がり、それもあって大きな話題となっていったとのこと。
元々この建物は、1900年代の初期に建てられ、一世紀を隔てても保存状態が良いまま残っていました。
建築の際は多くの資材がヨーロッパ、とくにフランスから持ち込まれたそうで、バルコニーはフレンチ様式で作られていますが、蓮の彫刻がほどこされるなど、屋根は東洋式となっています。内部は豪華なアンティークが揃っていると言われています。
売却される以前は、7人のベトナム人に所有されていたそうで、その中には海外に住んでいる既に亡くなったベトナム人も含まれていたそうです。
こちらの建物は、2020年4月現在、厳重に警備されつつ工事がなされているため、まだ全貌を見ることはできません。
まだ観光客に向けて公開する予定は決まってないそうです。新型コロナウイルスが収束して観光客が再び増えだす頃には、ひょっとしたらホーチミンの新たな観光スポットとしてお披露目されているかもしれませんね。
Phuong Nam - the 35-million-dollar house
住所:110-112 vo vantan, D3
ホーチミンのコロニアル建築6:人民市庁舎
ホーチミン市人民委員会庁舎は、グエンフエ公園の北端に位置する、ホーチミンのシンボル的な建物です。
フランス植民地時代にフランス人建築家によって設計され、1909年に完成しました。外観は、パリ市庁舎を参考に設計されているそうで、ルネサンス様式にのっとっています。もともと、現地に駐在するフランス人のパブリックホールとして作られたものだそうですが、ベトナム戦争終結の年である1975年以降から、ホーチミン人民委員会庁舎と呼ばれるようになっています。
100年以上の歴史を有する建築物ですが、2016年から2017年にかけて建物内の修復工事を行ったため、見た目はとても新しく見えます。建物は、現在も市の行政機関として機能しています。内部見学はできませんが、市内随一のコロニアル建築を眺めるためにぜひ足を運んでみることをお勧めします。建物は他のコロニアル建築と同じくクリーム色がベースで、 2 階部分に並ぶアーチ型の窓とバルコニーが、コロニアル建築の特徴を備えています。
記念撮影のスポットとしても知られ、観光客で多く賑わっています。また、夜になると、すぐ横のホーチミンスクエアとともにライトアップされ、さらに雰囲気が増すのでおすすめです。
人民市庁舎Ho Chi Minh City People’s Committee
住所:86 Lê Thánh Tôn, Bến Nghé, Quận 1
ホーチミンのコロニアル建築7:コンチネンタルホテル
フランスの有名な女優カトリーヌ・ドヌーヴが主演した映画「インドシナ」に出てきたことでも有名なホテルです。また、日本では、司馬遼太郎がベトナム戦争の取材時に滞在したホテルとしても知られています。
1925年に開業したマジェスティックよりも歴史が長く、1880年に開業したホーチミンに建つ最も古いホテルです。
フランス統治時代は、サイゴンの政治、経済の情報が集まる中心地であり、政治家や記者や商人などが語りあうさまは「ラジオ・カティナ」と呼ばれていました。(「カティナは、賑やかな場所という意味で、当時の地名)。
全部で客室は85室と、マジェスティックに比べて小さめのホテル。ロビーもややコンパクトですが、アンティークな調度品とクラシカルな内装が、ホテルの歴史を感じさせてくれます。
ロビーの横にはイタリアンレストラン「Ristorante Venezia」があり、こちらはホテルとは入り口が別なので、宿泊客以外も利用しやすいです。こちらのテラス席に座りつつ、オペラハウス、カラベルサイゴン、ユニオンスクエアなどが立ち並ぶ「プチパリ」の雰囲気を味わいながらコーヒーを飲むのもおすすめです。
コンチネンタルホテル
住所:132-134 Đồng Khởi, Bến Nghé, Quận 1
ホーチミン有名5つ星ホテルが最大76%OFFホーチミンのコロニアル建築8:タオディエンの街並み
ホーチミンの中心街である1区から、サイゴン川の対岸にある2区。その中心地が、タオディエン地区です。
1区からそう遠くないものの、サイゴン川を挟んでいるこの地区は、以前は交通手段が船しかなかったため、発展が遅れ、ホーチミンの中でも最も貧しい地区の一つでした。ところが、2011年にトンネルが開通して交通が便利になると、中心街の喧騒から離れて暮らしたい外国人在住者や富裕層のベトナム人が住む高級住宅地へと変わっていきました。
更に、今後開通予定の地下鉄によって1区と2区が結ばれることが分かると、地価が高騰し、現在、タオディエン地区はベトナムで最も地価が高い場所のひとつとなっています。
以前はほとんど観光客が来なかったエリアでしたが、最近は、在住外国人のみならず観光客も楽しめるような、おしゃれなレストランやショップが軒を連ねるようになりました。また、フランス植民地時代のコロニアルな雰囲気を連想させるお屋敷や、ホテル、スパなどが立ち並び、まるでホーチミンではないかのような街並みを楽しむことができます。
タオディエン地区は、ホーチミンの中心であるドンコイ通りから、タクシーで20分ほどです。メインの通りは、タオディエン通り。
一方で、タオディエン通りと交差するように走る、Xuan Thuy 通り(スァン トゥイ 通り)も賑わっており、おしゃれな雑貨店が多く立ち並ぶことで有名です。
まとめ
以上、ホーチミンにあるコロニアルな建築や、街並みをご紹介しました。ホーチミンは、東南アジアらしい町並みと、西洋文化の名残の両方が融合する、特徴ある街です。ホーチミンを訪れた際は、ぜひそれらがミックスされた他の街にはない味わいを、楽しんでみてください。
関連情報はこちら
ホーチミン有名5つ星ホテルが最大76%OFFこの記事を書いた人:渋澤怜
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