【インタビュー】聴覚障害者の自立を促すカフェ~Thoi Thanh Xuan(トイタインスアン)~

2019年12月9日更新

2019年秋、ドンコイ通りに「Thoi Thanh Xuan(トイタインスアン)」というカフェがオープンしました。こちらのカフェの店員は聴覚障害者。そしてメニューに金額は記載されておらず、お客さんがサービスに対して感じた満足度によって決まります。今回は、お店のご紹介と、スーパーバイザーであるウィさんに色々お話を伺えたのでご紹介致します。

お店の場所

「Thoi Thanh Xuan」はドンコイ通りのサイゴン川寄りの場所に位置し、ホーチミンの6つ星ホテル「レヴェリー・サイゴン」の隣にあります。看板が出ていないのでややわかりにくいのですが、本や雑貨が売っている「Van nghe(googleではArtbookとあります)」というお店を入り、

レジの隣の階段を上がった2階です。

賑やかな立地にありながら、店内はとても静かで、心地よい落ち着いた音楽とエッセンシャルオイルの良い香りがする空間になっています。

テーブル席やソファ席、ドンコイ通りを見下ろせるテラス席があります。

オーダーはカラースティックで

席に着くと店員がメニューを持って来てくれるのですが、このメニューには価格が書いてありません。その代わり、色の着いたカラースティックが付いています。

そしてオーダーの際には自分が選んだものと同じスティックを箱の中から選び、「アイス」か「ホット」のどちらかの場所に置く、というシステムになっています。

拘りのドリンク

ブラックコーヒー/ホワイトコーヒー

ブラックは濃いめで、初めて味わうスモーキーな風味でした。

ラテ(右側)

ハーブティー

「Thoi Thanh Xuan」で一番オススメのハーブティーはジャスミンの優しい香り。

お支払いは「心付け」

カウンターに置いてあるこの料金箱には「コーヒーやお茶に値段はありません。あなたが幸せや満足感を感じたらここにお金を入れて下さいね。」と書いてあります。

インタビュー

それでは、美味しいコーヒーを頂きながら、ウィさんにインタビューをさせて頂きます。

「Thoi Thanh Xuan」について

筆者「こんにちは。今日は宜しくお願いします。それでは早速ですが、なぜ聴覚障害者がスタッフとして働くお店を始めようと思われたのですか?」

ウィさん「このホーチミンのお店は、ベトナム人のオーナーがダラットで始めたお店の2号店です。ダラットは涼しくて木や野菜などの植物を栽培する農園がたくさんあるのですが、聴覚障害者はどうしても農業に携わる以外の選択肢がなかなかなかった。そこで、カフェという形で接客を経験したり、エッセンシャルオイルや石鹸を作るという場所を作って彼らの自立をサポートしようというのが始まりだったんです。」

筆者「値段設定をしないのは何故ですか?」

ウィさん「コーヒーを淹れることはとても難しいです。飲んだ人が本当に美味しいと感じているかどうかわからないので、お客さんに味を評価して欲しい、という気持ちですね。たくさん入れて貰えるようになれば満足度が上がったということ。そうでなければ改善していかなくてはならない。そうやって味やサービスのクオリティを上げていけたらいいなと思います。」

筆者「成る程。でも、出口に料金箱を置いていると泥棒にあったりという危険はないですか?3年前から営業しているダラットのお店では何度も盗まれたと聞きましたが‥。」

ウィさん「料金箱を盗まれるかもしれない、という事は心配していません。それは私たちにとって気にすべき事ではないんです。監視カメラをつける予定も今はありません。」

筆者「お客さんはどのくらい料金箱に入れますか?」

ウィさん「30,000VND(約150円)から100,000VND(約500円)です。平均して50,000VND(約250円)入れて貰っています。」

筆者「見た所、お客さんは学生や若者が多い印象ですが、どんな人が多いですか?」

ウィさん「うちは通りに看板を出していないので、紹介やフェイスブックで知って来てくれる人が多いですよ。だから結果的に若い人が多いかもしれません。」

筆者「Thoi Thanh Xuanとはどういった意味ですか?」

ウィさん「若さ、という意味です。」

オーナー拘りの空間作り

筆者「木の温もりが感じられる、とても素敵な内装のお店ですが、デザインしたのは誰ですか?」

ウィさん「ダラットのオーナーです。ダラットの店舗も自然の中にあって、木造です。」

筆者「ホーチミンのドンコイ通りにあるのに、まるでダラットにいる感覚になります。それに飲み物もとても美味しいです!」

ウィさん「ダラット産アラビカ種のコーヒー豆を使っています。月に一回、ダラットにいるコーヒーの先生が店舗に来て、味のチェックをします。また、ドリンクと一緒に出すチョコレートは、ダラット駅と隣接するThe Chocoのものです。本格派で人気のチョコレートなんですよ」

筆者もダラット旅行で見つけたチョコレート。

ホーチミンで買えるとは思いませんでした。

お土産に是非!

筆者「アロマオイルや石鹸もここで作っているんですか?」

ウィさん「いいえ。ダラットで聴覚障害者によって作られているものです。」

エッセンシャルオイルは8種類あります。

・Sa Java/Sa Chanh=レモングラス

・Thong=パイン

・Oai huong=ラベンダー

・Cam=スイートオレンジ

・Que=シナモン

・Nghe=ターメリック

・Puong lu=ゼラニウム

・Bac ha=ミント

「聴覚障害者が働くお店」というコンセプトのお店を始めた人々の想い

筆者「ベトナムの聴覚障害者の方について教えて下さい。彼らは生まれた時から耳が聞こえないのですか?」

ウィさん「はい、先天性のものです。話せないのでバスやバイクに乗る時に不便な思いをすることがあると言います。」

筆者「ウィさんはスタッフの方とどうやってコミュニケーションを取るんですか?」

ウィさん「私はこの仕事を始める前に、手話を勉強していましたから手話です。あとは筆談します。スタッフは何かやりとりが必要になった時の為にいつもノートを持ち歩いています。」

筆者「カフェ店員として働くことで彼らに何か変化がありましたか?」

ウィさん「ホーチミンではまだ1ヶ月ですから、変化という意味ではまだわかりませんが、ひとつのクラスのようですね。どうしたらもっと良いカフェをみんなで作り上げていけるか、日々勉強、試行錯誤です。ダラットのスタッフはこの経験を経て、レストランのスタッフやシェフ、バーテンダーに転身したり、ネイリストや画家、鞄を作る職人になった人もいます。それぞれやりたいことを見つけて卒業、自立していきます。」

筆者「ベトナムに、このようなコンセプトのカフェやレストランは他にも多くあるんでしょうか?」

ウィさん「あまり無いと思います。ハノイやダナン、ホーチミンに聴覚障害者の学校はありますが、卒業後の進路の選択肢が少ないのが実情ですね。やはり彼らがやりたいことや夢を見つけてそれに向かって進んで行くことを見るのは、私たちにとってもとても嬉しいことですから、Thoi Thanh Xuanの様な場所がもっと増えたら良いなと思います。」

ベトナムと日本、それぞれの手話で「ありがとう」

筆者「日本でありがとう、を表す手話は、左手の甲を右の手刀で一回軽く叩いて上に上げるという動きです。ベトナム手話で感謝を伝えたい時はどのようにしたら良いですか?」

ウィさん「ベトナム手話のありがとうは、両手で口からフワッと花を咲かせるようなジェスチャーをします。」

筆者「へぇ!全然違うんですね。勉強になりました。ウィさん、今日は忙しい中たくさんお話を聞かせて下さり、ありがとうございました。」

壁一面のお客さんの声

壁にびっしり貼られたお客さんの声を、一部ご紹介します。「店内は心地よく、スタッフは熱心でコーヒーは美味しいです、また友人を連れて来ます。」「日々忙しくイライラしていましたが、リラックスすることができました。感謝しています。」「小さなダラットのようで非常に平和です。訪れるたびに幸せな気持ちになります。」「どうか青春・若さを大切に!」

店舗情報

店名の通り、前向きでフレッシュな感性に溢れていながら、静かで大変居心地の良いカフェでした。接客もとても丁寧で気持ちの良いものでした。また、私たち外国人がわからないベトナムの言葉でやりとりをするのではないので、言葉の壁を感じることなく過ごせる、という意外な発見がありました。是非、行ってみて下さいね。

お店の名前:Thanh Xuan In Sai gon(タインスアンインサイゴン)

住所:43 dong khoi,Quan1

営業時間:9:00-22:00

FB:https://www.facebook.com/ThanhxuaninSaiGon/


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