交渉制バイクタクシー・セオムの乗り方完全マニュアル
2023年5月16日更新
目次
バイクタクシーの危機
昨今のUber、Grabタクシーなどスマホで手軽に呼べるタクシー配車サービスの普及により経済的に最も打撃を受けているのが、他ならぬバイクタクシーの運転手です。
※2018年4月、ベトナムにおけるUberの配車サービスは終了しました。
彼らは道端に停めたバイクの上で新聞を読んだり、ひたすら人間観察をしたり、一見ただの暇そうなおじさんに見えるかもしれませんがそんな彼らも一応仕事中で、家族を養っている人もいます。
「配車サービスがあるなら普通のバイクタクシーなんて使わないよ!!!」
と思うかもしれません。確かにバイクタクシーは時にトラブルもあり、100パーセント安全とはいえないのが現状。
しかし一方で、配車サービスはスマホありきの移動手段。
携帯の電池が切れてしまったり、はたまたワイファイや電波が拾えなかったりした瞬間にあなたは自分の身ひとつとなり、スマホはただの鉄の塊と化してしまいます。
そんなときは!
(カフェで一休みするバイクタクシーの運転手)
そんなときに助けてくれるのがバイクタクシーのおっちゃん!
筆者自身がベトナム生活を通して経験したバイクタクシーでの失敗と成功を生かし、いざという時に最大限安心安全に利用するマニュアルを1から徹底的に紹介します。
かなり長いですが、バイクタクシーに乗ってみたい、又は乗る可能性があるという方は一度目を通しておくことをオススメします。
普通のタクシーに使えるテクニックもあるので、バイクの後ろには乗りたくないという人もうまく活用してください。
1.相場を知っておく
バイクタクシーに乗る前に私がまず最初にするのが、相場を調べることです。
距離や時間帯にもよりますが、基本的に普通のバイクタクシーの相場は配車サービスよりも2万ドン(100円)ほど高いです。
例えば、タンソンニャット国際空港からバイクで約20分かかるサイゴン中央郵便局まで行きたいとします。
20分なら、スマホで配車サービスを呼ぶとだいたい4万ドン(200円)で行けますが、バイクタクシーを捕まえて乗るなら6万ドン(300円)かかるということになります。
また、以前空港から約25分かかるホーチミン市の8区までの距離をバイクタクシーで移動した際には7万ドン(350円)でした。
(事前に配車アプリで料金を確認したところ5万ドン(250円)前後でした)
★相場の事前調査は非常時には出来ませんが、少しでもバイクタクシーを利用する可能性があるなら配車サービスのアプリで事前に出発地から目的地までの相場をだいたい知っておくと安心です。
2.予算を決める
とりあえず交渉!の前に、自分の中でいくら払うかを決めておきましょう。
これは、「払ってもあとで後悔しない金額」です。これも相場を知らないと金額は決められませんが、20分で6万ドン前後(300円)ということを踏まえて、なんとなく自分が乗りたい距離の料金を頭の中で計算しましょう。
バイクタクシーは配車サービスと比べてしまうとやや割高なので、それをふまえて予算を頭の中で決めましょう。(特に昨今のバイクタクシーのおじさん達の経済状況を考えるとシビア。)
予算を決めたらそれを行動に移すために次のステップです。
3.財布やポケットに決めた予算だけ入れる(余分なお金を隠す)
なるべく人目のつかない場所(店の中やトイレがおすすめ)を探し、財布かポケットに自分で決めた予算だけを入れ、大きいお金はカバンの底やドライバーに見つからないであろう場所に隠します。もちろんドライバーの目につかない場所でやるのが鉄則です。
ここまでするとまるで今から犯罪にでも手を染めるかのような気分になりますが、
最後にお金を払おうとするときにドライバーに「このお札だよ!」と勝手に財布から実際の金額と異なったお金を抜き取られてしまうという被害が外国人の間で度々報告されているので、最初からお財布に予算分しか入っていなければそういった被害を未然に防ぐことができます。
★余分なお金を一切持っていない=ぼったくることができない
ということを強調するためにも、言語面で不利な訪越外国人に推奨する作業です。
★この作業は、なにがなんでも絶対にぼったくられたくない!!という方にはオススメですが、そうでない方は必要ありません。
4.バイクタクシーを見つける
ここにきてようやくバイクタクシーを探す段階に入ります。
遠目からは判別が難しい場合もありますが、最初に説明したようにバイクの上に寝転がって新聞を読んだり、キョロキョロしていたり、暇そうにしている人はバイクタクシーの可能性あり。
あちらから勧誘してくる場合もありますが、あちらの勢いに乗せられてすぐに決めてはいけません。
もしバイクタクシーがかたまっているポイントを見つけたら、まずはその中に飛び込んで声をかけてくる人たちの話を話半分に聞きましょう。
★あちこちから話しかけてくるバイクタクシーの群れのなかに入るのは少々緊張するかもしれませんが、決してオドオドしたり弱気な態度を見せてはいけません。毅然とした態度で接しましょう。
★あまり真面目に耳を傾けすぎてしまうとどんどんあちらのペースに飲まれてすぐに乗車させられてしまうので、あくまで迷っている感じを出しながら話半分に聞くのがポイント。
5.値段交渉、ドライバーを決める
次々話しかけてくるドライバーと値段交渉をします。
ドライバー「どこまで行くの?」
あなた「◯◯まで行きたい」
ドライバー「いいよ!」
あなた「いくら?」
ドライバー「**ドン」
あなた「それは無理。**ドンでどう?」
ドライバー「無理」
あなた「わかった、他のドライバーの話も聞いて考える」
というやりとりを身振り手振りでなるべく多くのドライバーと重ね、相場を把握します。
こちらが外国人であるとわかった場合、最初は相場の2~3倍の値段を言ってくると思いますがそう言った場合は決してひるまず
「お金がないのでそれは無理です。」とハッキリ態度で示しましょう。
うまく交渉しつつギリギリまで予算内で連れて行ってくれるドライバーを探しましょう。
3~4人と話せばだいたいのそこでの相場が掴めます。
★特に相場が全くわからない人は、絶対に最初に自分から希望金額を言ってはいけません。最初に「いくら?」と聞いて、そこから2~3分の1は安くなります。
★ここでは値段交渉がメインになりますが、交渉成立しても絶対にその場でお金を払ってはいけません。料金は目的地に着いてから、最後に払います
★ドライバーが悩んでいるような素振りを見せたらここでポケットにしのばせた予算を出し
「今これしかないんだけど…なんとかならない?」と訴えかけます。
★バイクタクシーが一台しか見つからなかった場合は、自分の近所にいる頑固なおばさんを説得するような感覚で粘り強く値段交渉しましょう。
★交渉中にドライバーが自分に興味を示さなくなったら「それ以上は安くできない」という合図である可能性が高いので潔くそこで諦めて乗せてもらいましょう。
★ベトナムでの口約束は日本以上に不確かなものなので、念には念を入れて合意した料金を紙などに書いて見せ合って、会計が終わるまで持っておくのもひとつの手段です。
6.最終確認
乗せてもらうバイクタクシーが決まったら、目的地と料金がしっかり伝わっているか、最終確認をします。
ちゃんと伝わるか不安な場合は名前や住所を見せるものがあると安心。
料金は、指で何度も数字を表して復唱させましょう。
それでも不安な場合は「本当に4万ドンだからね?4万ドンしかないからね?」と言わんばかりにポケットに詰めた予算を見せたりして強調しましょう。
★お金の確認をしようとすると「あー、はいはい、いいから早く乗って」という風に曖昧にするドライバーもいますが、下車時の料金トラブルを防ぐためにも、しつこいくらい目と耳で値段を最後まで強調しましょう。
★お互いのためにも、目的地と料金の確認は少なくとも2回ずつしておくと安心。
7.乗る、降りる、支払い
あとは、バイクのうしろに乗って、目的地に着いたらヘルメットを返却し、1番最後に黙ってお金を渡して終了です。
★万が一、会計時にこれじゃあ足りない、などと交渉時と違うことを言おうとしてきたら聞こえないふりをして笑顔で
「ありがとう!!!」と強制的に解散しましょう。
★そういったトラブルのためにも会計はヘルメットをドライバーに返したあと、全てが終わった1番最後に支払いましょう。
最後に
ベトナム語が話せない外国人にとって、現地の人と同じくらいの値段でバイクタクシーを利用するのはたやすいことではありません。
また、安くて安全なタクシー配車サービスの勢いに追いやられて近い将来バイクタクシーのおじさん達は街からいなくなると言われています。
しかしいくつかのことに注意さえすれば、現地のおじさん達との交流も楽しくなってくるはず。
ベトナムを訪れる機会がある方は是非一度バイクタクシーのおっちゃんに声をかけてみてはいかがでしょうか?