今が旬。カマウのカニの卵を食べるべき
2023年1月28日更新

ベトナムで口にすることの多いカニには3種類ある。日本では「ワタリガニ」と呼ばれるカニは「GHE(ゲー)」と称され、その他の「CUA(クア)」となぜか区別されている。CUAの中でも田んぼに住む小さなカニは、潰してスープや麺料理に使われる。その絶品の味やユニークな調理法はまたの機会に書くこととして、今回紹介するのは、日本では「ノコギリガザミ」と言われている種類で、ベトナムの家庭の食卓やレストランでハサミの目立つでっかいカニがどーん出てきたら、たいていこのカニだと思って良い。

アフリカ東海岸からオーストラリア、ハワイまで幅広い地域に分布。日本でも、沖縄を中心とした南西諸島に主に生息しており、マングローブ地帯など波の静かな内湾や、河口の汽水域などに住んでいる。昼は巣穴に潜んでいるが、夜になると巣穴から出て餌を採る。甲の縁にノコギリの歯のようなギザギザが付いていることから日本ではこの名で呼ばれているが、高知県ではエガニ、英名はマッドクラブ、マングローブクラブと呼ばれる。
体幅は最大で20センチにもなり、左右のハサミの大きさが違うのが特徴。立派な方のハサミには身がぎっしり詰まり、このカニを食べる際のハイライトのひとつだが、しかし実は一番のおいしい部分は、殻をぱかっと開けた中に詰まるタマゴなのである。シーズンになると、硬い殻の中身は真っ赤なタマゴでいっぱいに。運が良ければ中身の半分近くがタマゴなんてことも。その甘美で濃厚、芳醇な味は、他のどんな動物類や魚介類でも味わえない種類のものである。もちろんオスのカニにはタマゴはない。しかその分、オスの肉はしなやかで甘く柔らか。よくできたものである。
カマウのカニは絶品

このカニの名産地は、何と言ってもカマウ省。ベトナム最南端、南北に長いベトナムの一番下、カニの後ろ足のようにぴょこっと突き出た部分になる。「カマウ」とは、ベトナム人が住み着く以前に住んでいたクメール人の言葉で「黒」を意味するのだとか。ホーチミン市内を歩くと、そのカマウ産のものだとアピールする「CUA
CAMAU」と書かれた看板をよく目にする。
そのカマウのマングローブガザミ、他の地域のものとどう違うのか。現在はホーチミン市に住んでいるが、カマウ出身のショップ店員、DINHちゃんに聞いてみた。「マングローブ林の多いカマウの地は、タマゴの質が良いとされています。味が濃く、においが良く、色も鮮やかできれい。とろみと脂分がまるでバターみたいだと表現する人もいますね」。ごくり。だいたい10月から今の時期が、そのタマゴぎっしりのベストシーズンなのである。
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