ホーチミンでパリを感じる。「中央郵便局」
2023年5月16日更新
19世紀後半から20世紀半ばまで続いたフランス領インドシナ時代。フランスが東南アジアを支配していた頃、ベトナムもフランスの統治下にありました。ゆえに、現在でもフランス語を話せるベトナム人もいますし、フランスに留学する学生も多くいます。
今回は、そのフランスが統治下時代の1891年に建設した「中央郵便局」の内部をお伝えしたいと思います。
コロニアル建築の代表作「中央郵便局」
中央郵便局はベトナム語の正式名称だと「サイゴン中央郵便局」。それからも分かるように、旧都市サイゴンの中心地に建つ郵便局でした。現在橙色の派手な外観となっていますが、これは2015年に塗り替えたもの。
写真上は塗り替える前の外観。この外観の塗り替えに関しては、市民の大半が反発をしたそうです。在住外国人の間でも「古き良きを知らないベトナム人」と揶揄されていました。
そんな中央郵便局は、フレンチコロニアルの代表作として、ガイドブック御用達の名物スポットとなっています。フランス・パリのオルセー駅(現在はオルセー美術館)の駅舎をモデルにした外観で、その設計を請け負ったのは、エッフェル塔でも有名なギュスターブ・エッフェルの会社です。実際、当時はすでにエッフェル氏は非常に有名でしたので、直接中央郵便局の設計に携わったというよりかは、会社として請け負ったといった方が正しいかもしれませんね。
優美な内観に潜入
アーチ状の天井は奥行きがあり、その最奥部にはホーチミン主席の大きな肖像画があります。郵便局として、そして観光名所として機能していますので、現地のベトナム人と外国人旅行客が多く行き交っています。それにしても、これほど豪華で美しい建物が郵便局で、しかも現在も現役で利用されているというのは、日本人からしたら少し羨ましいですね。
2枚の地図を見逃さないように
入口傍の左右には、電話ボックスとATMが設置されています。こちらも中世ヨーロッパを感じさせるクラシカルな造り。注目してほしいのはその上の大きな地図。
それぞれ1892のサイゴンの地図と、1936年南ベトナムとカンボジアの電信網です。いずれも当時はフランスの統治時代をおくっております。中央郵便局は、ベトナムと自国フランス、および周辺の統治国と通信するに重要な拠点だったことがうかがえます。
お土産を漁る
入口傍左右の通路はお土産コーナーになっていて、幅狭い通路にお土産物が並んでいます。ここで買えるものは、ベンタイン市場で売っているようチープ商品から、ドンコイ通りのお洒落ショップで扱っているようなデザイン性に富んだお土産まで充実。
ただし、筆者のおすすめはこちらの通路ではなく、入口正面にある円形のカウンターで販売している商品。通路で売られているお土産品はすべて定番物で目新しいものはないので、あえてここで買う必要もないように思えます。また、いずれも若干高い印象も受けますので。
この円形カウンターでは、主にベトナムの写真やキーホルダー、卓上カレンダー、古切手などです。ベトナム写真集は博物館ではよく見かけますが、そこらへんの雑貨ショップや市場では見かけません。せいぜいポストカードくらいでしょう。また、卓上カレンダーは手作り感があるキュートなデザイン。机に置いておけば、いつでもベトナム旅行の思い出に浸ることができます。
郵便局らしいお土産といえば、こちらの古切手。ベトナムで当時使われていたものから、ベトナムの冠婚葬祭時に切る民族衣装のイラスト切手などもおすすめどころ。いずれも荷物としてかさばらないので、たくさん購入して、友人や家族に配るのもいいでしょう。
ベトナム旅行を手紙に綴る
欧米人に聞いたところ、海外旅行の旅先で、自国にいる両親や恋人に手紙を送るのは恒例のプチイベントのようです。彼らは中期滞在が多いので、帰国する前に届いてくれることが流行っている理由の一つかもしれませんね。
こちらから手紙を送ると、7日から10日前後で日本に到着します。運がよければ5日程度。郵便局でポストカードも売っているので、これを手紙にするのも可能です。
ベトナム戦争以降、多くのベトナム人が各国で暮らしています。彼らはその国の良質な日用品をベトナムにいる家族に定期的に送っています。その荷物の受け取りに来られるベトナム人をよくみかける他、ベトナム国内に散らばる身内への手紙を送ることもよくあります。
外国人にとっては、優美な内外観が見どころの観光名所の一つですが、彼らにとっては日ごろからお世話になっているイチ郵便局の一つ。現地人の生活の一コマをのぞける貴重な場所でもありますので、滞在時間が短い方も、ここはマストで訪れてほしいスポットとなります。
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