テトを前にホーチミンは華やかに~8区運河沿いにある花市場
2023年3月22日更新
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ベトナムの新年「テト」を前に、ホーチミンの街は花でいっぱいになる。街じゅういたるところが、それこそ文字通り「花で溢れかえる」。いつもはバイクや屋台で占領されている歩道も、テトを1週間後に控えた今は、盆栽から大木までさまざまな花や木でいっぱいに埋められる。菊の鉢植えに梅の木、ブーゲンビリア、竹やライムの木に艶やかなラン、大輪のヒマワリまで、色とりどりに。中には高さ3メートルに及ぶ大木も。いったいこれだけの花や木がベトナム市民の家の中に果たして収まるだろうかと思うくらい、圧倒的な質と量だ。

もうひとつの疑問は、こうした鉢植えや盆栽はいったいどこからやってくるのだろうかということ。これは地元の人たちに尋ねるとすぐに分かった。ベトナム南部で鉢植えや盆栽は、ベンチェー、カントーといったメコン川のデルタ地帯が一大生産地となっている。栽培農家の手で時間をかけ育てられた木々や花々は、テトを前にして舟で川を遡り、ホーチミン市にやってくる。比較的近いベンチェーからでも、12時間はかかるという。そしては8区の運河沿いにまず陸揚げされる。

ホーチミン市内南西よりのチャーヴァー橋周辺のベン・ビーン・ドン地区がその最初の上陸地なのだが、それはベトナム戦争中からずっとそうである。この地区はかつてほとんど人の住まない地区で、舟を止めてそこで花を広げ、店を出すだけだったのが、今は歩道を7メートル幅で2週間借りると500万ドンかかるのだとか。

メコンデルタからのこうした花の到達は、だいたい大きく2波に分かれている。テト2週間前にまず小さな鉢植えや盆栽が小さな舟に乗ってやってきて、1週間前になると大きな花や木が大きな舟に乗せられて運ばれる。この頃になると、チャーヴァー橋を起点に、運河沿いの約2キロにわたる地域は一面の花市場となる。付近には甘い香りが漂い、花や植木を満載した船も行き来し、最近では大きな1眼レフを抱えたカメラマンの姿も多く見るようになった。店の数は100を軽く超えるだろうが、それぞれのお店には特徴があり、ひとつひとつ見ていってもけっこう飽きない。
大晦日に除夜の鐘が鳴るわけではなく、派手なカウントダウンがあるわけではない。新年になると町は静まり返り、人口が半分以下になったかのようだ。在住外国人にとっては、町中が色とりどりの花々で艶やかに化粧するテトの前の1週間こそが、一番新年を感じられる時かもしれない。
(高砂)
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