【インタビュー】シェムリアップのトゥクトゥクドライバーに本音を聞いてみました
2023年5月15日更新
今回はベトナムを抜けてカンボジアまで遠征。プノンペンから北西へ300km以上の道のりを経てやってきたのは観光都市シェムリアップ。アンコールワットやアンコールトムがある、東南アジアの象徴ともされている世界遺産のある町です。
その町で毎日外国人観光客を乗せて走るのがトゥクトゥク。今回は現地で知り合ったトゥクトゥクドライバーのニタさんにいろいろとインタビューさせていただきました。「基本は料金交渉には応じられない」という彼の仕事への真剣かつ誠実な姿勢と眼差しは、とても印象的でした。
シェムリアップで見たトゥクトゥクドライバーに生きる若者
今回インタビューに応じてくれたのは、カンボジアのシェムリアップで、トゥクトゥクドライバーとして働くニタ(Nita)さん27歳男性。
トゥクトゥクとはアジア地域で発展した日本にはない移動インフラ。カンボジアの他にタイやインド、バングラディッシュ、パキスタンなどで現在も現役で活躍中。国によって若干仕様が異なり、シェムリアップで一般的な装いは、通常の2輪バイクの後部に座席シートを付けたものが主流。料金は事前交渉性で、タクシーが一般的ではないカンボジアにおいて、旅行者のメインとなる移動手段です。
どうしてトゥクトゥクドライバーになったのですか?
ニタさん「僕の生まれた故郷はシェムリアップから400kmほど離れた田舎町です。そこで高校を卒業しましたが、経済的な理由から大学にはいかず、洋服の生地を売る販売員として働きはじめました。確か2013年のころですね。でも給料面で折り合いがつかず、結局2014年に退職して、トゥクトゥクドライバーになりました。
筆者「ほかの道はなかったんですか?」
ニタさん「なかったですね。僕は大学に行ってないので、企業勤めは非常に難しいです。シェムリアップも田舎町であることに変わりないですが、御覧のように観光客が多いので、トゥクトゥクでも生活できるくらいは稼ぐことができます」
普段の生活を教えてください
ニタさん「いまは友人と一緒に暮らしています。部屋の間取りですか? そうですね……ワンルームですよ。キッチンはなくて、トイレとシャワーだけのシンプルな部屋です」
筆者「じゃあ食事はいつも外食ですか?」
ニタさん「そうです。カンボジアはそこらへんの食堂で食べる方が自炊するよりも返って安く済むんですよ」
筆者「休日はどんな風に過ごしているんですか?」
ニタさん「特に休日っていう日はありませんね。仕事をしなければ稼ぎはゼロですし。強いて言えばお客さんがいないときが休日ですかね(笑)」
筆者「彼女さんはいないんですか?」
ニタさん「いますよ。でもプノンペンに住んでいて、まだ学生なのでなかなか会えないですね。最後に会ったのはお正月なので、もう2か月くらい会っていないか……。」
トゥクトゥクドライバーとしての仕事内容を教えてください
ニタさん「トゥクトゥクドライバーには2種類の人がいて、1人は完全フリーで働いている人。もう一人はホテル側と一種の契約のようなものを交わしている人です。僕がそれに当たるのですが」
筆者「社員とはまた違うんですか?」
ニタさん「違いますね。特にホテル側から給料をもらえるわけではないんですよ。僕が契約しているホテルは宿泊客に対して無料の空港送迎サービスをしているので、その際に僕が呼ばれるわけです」
筆者「でも無料ですよね?」
ニタさん「そうです(笑)でも、ときどきお客さんからチップをもらえるので、それが目当て。つまり、ホテル側はお客さんを運ぶ機会を提供してくれるってことです」
筆者「なるほど。じゃあホテルから呼ばれるまでは、自分でお客さんを探しているんですか?」
ニタさん「そうです。シヴァタ(Sivatha)通りでいつもお客さんを探しています」
筆者「1日何組くらいのお客さんを乗せるんですか?」
ニタさん「だいたい1組から3組、多いときで5組くらいですかね。1月から5月は旅行のハイシーズンなので、お客さんも多いです。雨季のシーズンはゼロって日もざらですよ」
正直いくらくらい稼いでますか?
ニタさん「少しですよ(笑)ひと月の稼ぎは少ないときで50ドルから100ドル。多いときで200ドル程度ですかね。300ドルを超えることは滅多にありません。これでも生地を売っていたときよりは大分もらっているんですよ」
筆者「その稼ぎはカンボジア人にとっては普通?」
ニタさん「僕の回りはトゥクトゥクドライバーしかいないので、他の業種の給料事情は分からないですが、普通よりは下でしょうね。プノンペンに行けばもう少し稼げるとは思うんですが、さっき言った通り僕は大学を出ていないので……」
日本人の印象を教えてください
ニタさん「全体のお客さんの2割から3割くらいが日本人ですね。一番多いのは欧米人と中国人。日本人客は佇まいでなんとなく分かります。品があるというか、あと若い男性と女性は個性的な服を着ていますからね(笑)」
筆者「それはベトナムでもよく言われますね(笑)。それと、日本人客に対してはどんな印象を抱いていますか?」
ニタさん「日本人客はとてもいい人たちばかりですね。あ、これ本音ですよ。トラブルがほとんどないので、他のドライバーも日本人客を重宝しています。でもちょっとシャイかな。僕も英語はあまり得意じゃないですが、仲良くなりたいので一生懸命話すように努力しています。なので日本人のみなさんも簡単でもいいので話しかけてくれるとうれしいです」
筆者「トラブルってよくあるんですか?」
ニタさん「うーん、そうですね。料金交渉でやっぱりひっかかるときはあります。特に欧米人と中国人は料金交渉が人によってかなり強引で強気なので……」
筆者「だからみんな最初は高値を言うんですね」
ニタさん「それはありますね。最初から正規の料金を提案しても、十中八九そこから値引き交渉がはじまってしまうので、だったら最初は高値で、って感じですよね。でも、僕は日本人に対しては最初から相場の料金を提示するんですよ。そこから値引きも一切しません」
筆者「ほお、それはどうして?」
ニタさん「日本人の方は料金交渉が苦手なせいか、あまり値引きの要求をしてこないんですよ。こちらの最初の言い値で判断されてしまうことが多いですね。だからほかの外国人にするように高値で提案したら相手にされません。それから値下げしても、もうお客さんは僕のこと信じませんから」
筆者「確かにそうかも。高値を提示するドライバーはあまり信用できないので、安くなっても利用しない人は多いかもしれませんね」
ニタさん「そうでしょ。でもそれってとても自然だしいいことだと思うんですよ。日本人は誠実なんだと思います。だから、僕も誠実になりたくて、相場の料金を最初から提示するようにしています」
ほかのトゥクトゥクドライバーと差別化をしている点でもありますね
ニタさん「そうですね。ほかの多くのドライバーはそんなこと考えないで、誰にでも同じように接していると思います。でも、トゥクトゥクドライバーはシェムリアップだけでも1500人くらいいるって言われているんですよ」
筆者「そんなにいるんですか?びっくりです」
ニタさん「そうでしょ。だから、さっき言ったように、誠実な対応が一番の差別化だと思っています。だってカンボジアの人たちってあまり信用できないですよね?(笑)あとは、旅行者は滞在期間が短くて、日本人の方はせいぜい1日2日程度だと思います。なので効率を重要視しています。余計なところは立ち寄らないですし、最初からガソリンは満タンにしておくとか。でも、途中で少しだけとまって、サトウキビジュースとかカエル肉の串焼き屋台とかを見せたりと、カンボジア旅行らしい時間も満喫していってもらえるようなサービスも考えています」
筆者「ロリュオス遺跡の帰りに見たカエルの姿焼きはインパクト大でした!」
最後に日本人旅行者に一言お願いします
ニタさん「カンボジアはまだまだ貧乏な国で発展途上国です。でもアンコールワットは素晴らしい歴史遺産ですし、カンボジア人はみんな愉快で面白い人たちばかりです。きっと気に入ってくれると思いますので、是非いらっしゃってください!」
名前:ニタ(Nita)
Facebook:https://www.facebook.com/nita66tuktuk?ref=ts&fref=ts
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