ベトナムで生活するうえで、避けて通れないのが感染症への対策です。現在、ベトナム国内ではインフルエンザウイルスに感染する患者さんが増加し始めています。それと同時に、東南アジア等に特有の感染症であるデング熱も依然として流行期にあり、地域によってはアウトブレイク(集団感染)が続いています。
これら2つの感染症は、初期症状が非常によく似ているため、発熱した直後は医療従事者であっても症状だけでどちらかを判断することが難しいケースが多々あります。特に現在のベトナムのように、両方の疾患が同時期に増えている環境では、臨床現場でも非常に慎重な判断が求められています。
本記事では、ベトナムで暮らす邦人の皆さまが、発熱した際に知っておくべき症状の見分け方や検査の重要性、そして有効な予防策について詳しく解説します。
1. インフルエンザとデング熱の初期症状
発熱が始まって最初の1〜2日目は、どちらの感染症も非常によく似た症状を示します。まずは共通する症状と、見分けるためのヒントを押さえておきましょう。
共通する初期症状
- 突然の38度以上の高熱
- 全身の強い倦怠感(だるさ)
- 激しい頭痛
- 関節痛や筋肉痛
- 食欲の低下
このように、発熱初期は様々な感染症でよく見られるような症状が並びます。しかし、時間が経過する中で、注意深く観察することで、以下のようなわずかな違いが見えてくることがあります。
インフルエンザを疑うサイン
激しい咳、のどの強い痛み(咽頭痛)、鼻水など、「呼吸器系の症状」がはっきりと出ている場合は、インフルエンザの可能性が高くなります。
デング熱を疑うサイン
目の奥の痛み、関節痛(骨が折れるような、と表現されます)、皮疹、リンパ節腫脹、腹痛、嘔気、嘔吐が目立つ場合は、デング熱が疑われます。また、「咳やのどの痛みがほとんどない」にもかかわらず高熱が出ている場合は、デング熱の可能性がやや優位になります。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向に過ぎず、
2. 両方の同時検査が必要な理由
ベトナムでは、デング熱は通年で発生しており、特に雨季に患者が急増します。一方でインフルエンザは、今年は例年よりも早い時期から患者が散見されるなど、季節外れの流行の兆候を見せています。
このような背景から、発熱時には、症状や時期に応じて
これには、以下の4つの重要な理由があります。
1. 重症化リスクのあるデング熱を見逃さないため
デング熱には特効薬がなく、適切な水分管理や対症療法を行わないと「デング出血熱」などの重篤な状態に陥るリスクがあります。早期に発見し、経過を慎重に観察することが極めて重要です。
2. インフルエンザの早期治療につなげるため
インフルエンザであれば、発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用することで、症状を軽くし、療養期間を短縮することができます。
3. 感染拡大の防止のため
インフルエンザは、咳やくしゃみの飛沫により感染が広がる可能性がありますので、検査によって診断が確定すれば、登校・出勤停止などの感染拡大防止の措置をとることができます。一方、デング熱はヒトからヒトへ直接感染することはありませんが、蚊を媒介して感染が広がりますので、デング熱が見られた場合は、周辺の蚊の駆除や虫よけなどの対策をとることで、感染拡大の防止につながります。
4. ご本人の不安を解消するため
異国の地での原因不明の発熱は、誰しも強い不安を感じるものです。的確な検査で原因を特定することは、患者様やご家族の精神的な安心感にもつながります。
3. 予防接種(ワクチン)の重要性
日頃からの予防として、ベトナムで生活するうえで非常に重要な2つのワクチンをご紹介します。
デング熱ワクチン
デング熱は、異なる型のウイルスに2回目以降に感染した際、重症化しやすいという特徴があります。ベトナムはデング熱の流行地域であるため、ワクチンを接種しておくことで、感染や感染した際の重症化リスクを大幅に低減させることができます。随時接種が可能ですので、まだ接種されていない方はぜひご検討ください。
インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンは、発症そのものを抑えるだけでなく、万が一かかってしまった場合の重症化を防ぐ効果があります。今年は早期流行の兆候があるため、家庭内や職場での二次感染(感染拡大)を防ぐためにも、早めの接種が推奨されます。
4. ベトナムで暮らす皆さまへ
ベトナムは、独特の熱帯気候、活発な人の往来、そして生活環境の特性上、インフルエンザとデング熱が同時に流行しやすい環境にあります。
Raffles Vietnam Clinic では、現地の最新の流行状況を踏まえ、患者様一人ひとりに合わせた適切な検査と安心のケアをご案内しています。現在、当院では、2026/2027年シーズンのインフルエンザワクチンを提供中です。デング熱ワクチン(Qdenga) も随時接種可能です。ベトナムでの健康的な生活を守るために、ぜひワクチンの接種や早期受診をご検討ください。


