ホーチミン中心部から、サイゴン川の向こうにあるトゥーティエムへ。これまで車や船で移動していた2つのエリアが、将来は「歩いて渡れる」ようになります。2026年10月21日、バクダン公園とトゥーティエムを結ぶ「サイゴン川歩道橋」で、橋の中央部分をつなぐ大きな工事が行われました。
川の中央に設置されたのは、白い大きなアーチ。ベトナム南部の水辺でよく見られる「ニッパヤシ(dừa nước)」の葉をイメージしたデザインで、完成したときの橋の姿がかなり見えるようになってきました。
ホーチミン観光情報ガイド編集部もバクダン公園側から現場を確認しました。完成予想図だけを見ていたときよりも、実際に橋が川の中央までつながったことで、「グエンフエ通りから川へ出て、そのままトゥーティエムへ歩く」という将来のルートがイメージしやすくなっています。
ただし、ここは注意が必要です。2026年10月21日時点では、まだこの橋を歩いて渡ることはできません。
今回完了したのは、橋の主要部分をつなぐ「合龍(ごうりゅう)」という工程です。これから橋面や設備の仕上げ、安全確認などが続くため、一般開放日は今後の正式発表を待つ必要があります。
この記事では、現在どこまで完成しているのか、橋はどこにできるのか、そして完成後にホーチミン観光がどう変わりそうなのかを、現地で見た様子と公表情報をもとに紹介します。
サイゴン川歩道橋、10月21日に両岸がつながった
2026年10月21日午前8時、サイゴン川歩道橋の主要部分が正式に合龍しました。
「合龍」という言葉は、日本人旅行者にはあまり聞き慣れないかもしれません。簡単にいえば、別々に造ってきた橋の部分を最後につなぎ、橋を一本につなげる工程です。
今回設置されたのは、サイゴン川の中央部分をまたぐ大きな鋼製アーチです。早朝から大型の台船を使って橋の間へ移動させ、位置や高さを細かく調整。午前8時に正式な合龍を迎えました。ホーチミン市報道情報センターが掲載した10月21日の報道でも、午前8時に合龍したことが伝えられています。
情報確認:
ホーチミン市報道情報センター「Đã chính thức hợp long cầu đi bộ qua sông Sài Gòn」(2026年10月21日)
橋が一本につながったことで、工事は大きな節目を越えました。ただし、「橋がつながった=開通した」ではありません。この点については後ほど詳しく説明します。
2026年10月21日、バクダン公園側から撮影したサイゴン川歩道橋。主要部分の合龍を終えた橋の全景。撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
どこにできる? バクダン公園とトゥーティエムを結ぶ橋
旅行者にとってまず知っておきたいのは、この橋が「どこにあるのか」です。
中心部側の入口は、サイゴン川沿いにあるバクダン公園(Công viên Bến Bạch Đằng)周辺です。グエンフエ歩行者天国をサイゴン川に向かって歩いた先にあるため、ホーチミン中心部を観光する人には比較的わかりやすい場所です。橋を渡った反対側がトゥーティエム。こちらもサイゴン川沿いに公園や遊歩道が整備されているエリアです。
つまり完成後は、グエンフエ通り → バクダン公園 → サイゴン川歩道橋 → トゥーティエム
という流れを徒歩でつなげられるようになります。橋全体の長さは約720m。幅は場所によって約6~11mあり、川の中央部分に約187mの大きなアーチが設けられています。
設計上は歩行者だけでなく、自転車用のスペースも計画されています。ただし、実際の通行方法や利用ルールについては、一般開放時の正式案内を確認したほうがよいでしょう。
デザインは「ニッパヤシの葉」
橋を見たときに一番目につくのが、中央に立ち上がる白いアーチです。モチーフになっているのは、ベトナム語で「dừa nước」と呼ばれるニッパヤシ。メコンデルタなど、ベトナム南部の川沿いでよく見かけるヤシの一種です。
南部らしい植物をモチーフにしながら、ホーチミン中心部の現代的な景観にも合わせたデザインになっています。橋は2025年3月29日に着工。事業費は約1兆ベトナムドンで、食品・乳製品メーカーのNutifoodが建設費を支援しています。
事業概要:
ベトナム政府電子新聞「Cầu đi bộ qua sông Sài Gòn thử tải thành công, tiến gần đến giai đoạn hợp long」(2026年10月12日)
重要|まだ歩いて渡ることはできません
10月21日のニュースを見て、「もうサイゴン川を歩いて渡れるの?」と思った人もいるかもしれません。
しかし、2026年10月21日時点では一般開放されていません。
今回終わったのは、橋の中心となる構造をつなぐ大きな工程です。このあとも、接続部分の固定、橋面の工事、照明などの設備、細かな仕上げ、安全性の確認や検査などが必要になります。そのため、旅行の日程に「サイゴン川歩道橋を歩く」と入れるのはまだ早い段階です。
では、いつ開通する?
2026年10月21日時点で、一般の歩行者が利用できる正式な開通日は確認できていません。 10月12日に政府電子新聞が伝えた時点では、工事全体の進捗は約90%でした。その後、主要アーチの水上輸送と10月21日の合龍が行われています。
完成にかなり近づいていることは確かですが、「あと10%だからすぐ開通する」とは限りません。安全確認や検査が終わり、一般開放について正式な発表が出て初めて、旅行者も利用できるようになります。
過去の報道には以前の完成予定日が掲載されているものもありますが、予定は工事の進捗によって変わっています。旅行前には古い記事の日付ではなく、最新の発表を確認してください。ホーチミン観光情報ガイドでも正式な一般開放日が発表された時点で、この記事を更新します。
バクダン公園から実際に見てみると、橋の役割がわかりやすい
ホーチミン観光情報ガイド編集部では、工事中のサイゴン川歩道橋をバクダン公園側から実際に確認しました。現場で見て一番わかりやすかったのは、橋そのものの大きさ以上に、「中心部とトゥーティエムがどの位置でつながるのか」ということでした。
バクダン公園は、グエンフエ歩行者天国からサイゴン川へ出たところにあります。そこから川を見ると、対岸がトゥーティエムです。これまでも地図では場所を確認できましたが、中央のアーチが実際に入ったことで、橋を渡った先の動線がかなり想像しやすくなりました。
現在はまだ工事現場ですが、完成すれば「橋を見に行く」というよりも、中心部散策の続きをそのまま対岸まで延ばす使い方ができそうです。
バクダン公園側から撮影したサイゴン川歩道橋の全景。川の両岸をつなぐ橋の構造が確認できる。撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
写真を撮るなら、今は公園側から
合龍したばかりの橋を見たい場合は、バクダン公園など一般に開放されている場所から見ることができます。現在も工事が続いているため、フェンスの内側や作業区域には入らないようにしてください。特に写真を撮るときは、工事車両や作業員の移動を妨げないことが大切です。
橋全体を確認するだけなら、工事現場へ近づかなくても川沿いから十分見ることができます。
主要部分はつながったが、周辺では引き続き工事が行われている。撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
実はブンタウから運んできた。約3,400トンの大工事
ここからは、少しだけ橋の裏側の話です。川の中央にある巨大な白いアーチ。実は、ホーチミン中心部の工事現場で一から組み立てたものではありません。主要な鋼製構造は、ブンタウにある大ズン・グループ(Đại Dũng)の工場で組み立てられました。
そこで試験を行ったあと、大型の台船に載せてホーチミン中心部まで運んでいます。その距離は約124km。10月18日にブンタウを出発し、10月19日にサイゴン川のバクダン公園付近へ到着しました。橋本体と輸送・設置のための支持設備を合わせた重量は、約3,400トンです。大きすぎるため、普通のトラックで市内まで運ぶことはできません。そこで海や川を通り、巨大な構造物をほぼそのままの状態で運ぶ方法が採用されました。
水上輸送について:
川の流れを見ながら橋を設置
さらに難しいのが、サイゴン川の上で正しい位置に設置する作業です。サイゴン川は潮の満ち引きによって、水位や流れが変わります。施工チームは事前に川の状態を調べ、流れが比較的弱くなる時間帯を選んで台船を移動させました。
10月21日早朝には、大型の台船を橋に対して横向きに回転させ、両岸から造ってきた橋の間へゆっくりと移動。位置を調整したうえで、午前8時に合龍を迎えました。
完成した橋を歩くときには見えない部分ですが、今回の工事では「橋を造る」だけでなく、ブンタウから巨大な橋を運び、サイゴン川の流れを見ながら正確な位置へ入れるという作業も大きなポイントでした。
合龍当日の様子:
ホーチミン市報道情報センター「Xuyên đêm hợp long cầu đi bộ ngàn tỉ vượt sông Sài Gòn」(2026年10月21日)
完成すると、ホーチミン観光はどう変わる?
旅行者にとって一番気になるのは、橋の構造よりも「完成したら何ができるのか」だと思います。一番大きいのは、中心部観光とトゥーティエム散策を徒歩でつなげられることです。これまでグエンフエ通りを歩くと、サイゴン川沿いのバクダン公園まで来たところで、街歩きは一度途切れていました。対岸のトゥーティエムへ移動する場合は、車やバイク、水上バスなど別の交通手段を使う必要があります。橋が開通すれば、そのまま歩き続けることができます。
たとえば、次のような散歩コースが考えられます。市民劇場 → グエンフエ歩行者天国 → バクダン公園 → サイゴン川歩道橋 → トゥーティエム
夕方の散歩ルートとして使いやすそう
ホーチミン観光情報ガイド編集部として特に気になるのは、夕方から夜にかけての使い方です。ホーチミンは日中の日差しが強いため、長時間歩くなら夕方のほうが動きやすい日もあります。
明るいうちに中心部を歩き、バクダン公園から橋へ。橋の上から夕方のサイゴン川を見て、対岸のトゥーティエムへ渡る。日が暮れれば、トゥーティエム側から中心部のビル群を見ることもできます。
ただし、これは一般開放後に実際に歩いて確認したいポイントです。橋を端から端まで歩くのに何分かかるのか。どこに入口があるのか。ベンチや日陰はどの程度あるのか。夜は何時まで利用できるのか。自転車と歩行者の動線はどう分かれるのか。完成予想図だけではわかりません。
開通後、ホーチミン観光情報ガイドでは実際に歩いて、旅行者目線で改めてレポートする予定です。
今見に行くなら? アクセスと注意点
中心部側はバクダン公園へ
現在の橋を見たい場合は、中心部側のバクダン公園がわかりやすい場所です。グエンフエ歩行者天国を川まで歩き、そのままサイゴン川沿いへ出ます。ドンコイ通り、市民劇場、グエンフエ通りなどを観光する日に組み合わせやすく、橋を見るためだけに遠くまで移動する必要はありません。
ただし、まだ工事中です。現場のフェンス、立入禁止表示、警備員や作業員の案内に従ってください。
水上交通の規制と橋の開放時間は別
合龍工事に合わせ、10月21日と22日には工事区域周辺で水上交通の規制も行われています。これは大型台船を移動させたり、橋を設置したりするための船舶向けの規制です。
「午前2時~午後6時」といった規制時間が報道されていますが、これは歩道橋の営業時間ではありません。橋はまだ一般開放されていないため、混同しないようにしてください。
サイゴン川歩道橋の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | サイゴン川歩道橋(Cầu đi bộ qua sông Sài Gòn) |
| 場所 | バクダン公園~トゥーティエム側河川公園 |
| 全長 | 約720m |
| 幅 | 約6~11m(区間により異なる) |
| 中央部分 | 約187mの鋼製アーチ |
| デザイン | ベトナム南部のニッパヤシ(dừa nước)の葉 |
| 事業費 | 約1兆ベトナムドン |
| 資金支援 | Nutifood |
| 着工 | 2025年3月29日 |
| 主要構造の合龍 | 2026年10月21日午前8時 |
| 一般開放 | 2026年10月21日時点では未開放。正式な開放日は要確認 |
| 現在の見学 | バクダン公園など一般に開放されている川沿いから見学可能 |
よくある質問
Q. もう橋を歩いて渡れますか?
いいえ。2026年10月21日時点では、主要部分がつながった段階で、一般開放はまだ始まっていません。
Q. いつ開通しますか?
2026年10月21日時点で、一般開放日の正式発表は確認できていません。過去の記事に掲載された予定日ではなく、最新の発表を確認してください。
Q. どこにありますか?
ホーチミン中心部のバクダン公園と、サイゴン川対岸のトゥーティエム側河川公園を結ぶ位置にあります。グエンフエ歩行者天国からも近い場所です。
Q. 今でも橋を見ることはできますか?
バクダン公園など、一般に開放されている川沿いから見ることができます。ただし工事区域には入れません。
Q. 自転車でも渡れますか?
設計上は自転車用のスペースが計画されています。ただし、実際の利用方法や通行ルールは一般開放時の正式案内を確認してください。
ホーチミン観光情報ガイド編集部より
10月21日の合龍によって、サイゴン川歩道橋は完成後の姿がかなりわかるところまで進みました。今回、バクダン公園側から実際に現場を見て感じたのは、「新しい観光スポットが一つ増える」というより、これまで途中で途切れていた街歩きのルートが、サイゴン川の向こうまで続くようになることです。
グエンフエ通りを歩き、バクダン公園へ出て、そのまま川を渡る。ホーチミン中心部の観光では、これまでできなかった歩き方です。
一方、橋ができたからといって、本当に歩きやすい場所になるかどうかは別の話です。日差し、雨、夜間の照明、トゥーティエム側へのつながり方、実際の歩行時間などは、開通して初めてわかることもあります。
一般開放されたら、ホーチミン観光情報ガイド編集部でも実際に端から端まで歩き、旅行者が使いやすいルートなのかを確認して紹介します。
※本記事は2026年10月21日時点で確認できた政府機関、ホーチミン市関係機関、事業関係者の公表情報およびホーチミン観光情報ガイド編集部による現地確認をもとに作成しています。一般開放日や利用時間、通行ルールなどは今後変更・発表される可能性があります。
参考・情報確認先
ホーチミン市報道情報センター|Đã chính thức hợp long cầu đi bộ qua sông Sài Gòn(2026年10月21日)
ホーチミン市報道情報センター|Xuyên đêm hợp long cầu đi bộ ngàn tỉ vượt sông Sài Gòn(2026年10月21日)
ベトナム政府電子新聞|Cầu đi bộ qua sông Sài Gòn thử tải thành công, tiến gần đến giai đoạn hợp long(2026年10月12日)
VTV|Chính thức hợp long cầu đi bộ 3.400 tấn qua sông Sài Gòn(2026年10月21日)
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