ホーチミン市は旧ビンズオン省、旧バリア=ブンタウ省と合併し、2025年7月1日から新しい行政体制が動き始めました。同日、区(quận)などの中間の行政階層も廃止されています。旅行で戸惑いやすいのは、ホテルの住所、Grabの行き先、古いガイドブックの区名の3つ。住所の表記が変わっても、それだけで施設が移転したわけではありません。まず施設名・番地・通り名と地図の位置を照合しましょう。
何が変わった?「市の合併」と「区の廃止」は別の話
今回の変更は、二つに分けると理解しやすくなります。一つは、ホーチミン市の行政区域が広がったこと。もう一つは、住所に使う行政区分が変わったことです。
ビンズオンとバリア=ブンタウも、ホーチミン市の一部に
これまで別の省だったBình Dương(ビンズオン)とBà Rịa–Vũng Tàu(バリア=ブンタウ)が、旧ホーチミン市と統合されました。そのため、以前は「Bình Dương」や「Bà Rịa–Vũng Tàu」で終わっていた住所が、新しい表記では「Thành phố Hồ Chí Minh」になる地域があります。
海辺のブンタウと、ドンコイ通りのある中心部が、行政上は同じ市に入ったということです。旅行先としての距離まで縮まったわけではありません。ホテル予約で「ホーチミン市」と表示されていても、中心部なのか、旧ビンズオン地域なのか、ブンタウ方面なのかを地図で確認してください。
quậnがなくなり、市の下にphườngやxãが来る形へ
従来の住所では、市とphường(坊)の間に「Quận 1」「Quận 3」などの区名が入っていました。2025年7月1日からは地方行政が二層になり、区や県、それに相当する行政階層はなくなりました。
市街地の住所は、基本的に「番地・通り名 → phường → ホーチミン市」という形で読むことになります。地域によってはxã(社)やđặc khu(特区)が使われます。phườngは以前からあった区分ですが、今回、統合や境界の変更によって名前が変わった場所もあります。
旧住所と新住所は、どこを見比べればいい?
古い住所から区名だけを削除すれば、新住所になるとは限りません。phường自体が再編されているため、施設が案内する最新の住所を確認する必要があります。
たとえば、サイゴンセンターの住所を見比べると、次のようになります。
| 表記 | 住所 |
|---|---|
| 旧住所 | 65 Lê Lợi, phường Bến Nghé, Quận 1, Thành phố Hồ Chí Minh |
| 新住所 | 65 Lê Lợi, phường Sài Gòn, Thành phố Hồ Chí Minh |
この例では「65 Lê Lợi」という番地・通り名は共通で、Bến NghéがSài Gònになり、Quận 1が住所から外れています。公式案内と古い資料で後半が違っていても、同じ施設を指しているかどうかは、施設名と前半の住所から確かめられます。
「旧1区=サイゴン坊」ではありません
旧1区の全域が、一つのphường Sài Gònになったわけではありません。旧Bến Nghéの全域などはSài Gònへ、旧Tân Địnhの全域などはTân Địnhへ、というように再編されています。「1区にある店だから新住所はSài Gòn」と置き換えるのは避けましょう。
同じ名前が残っていても、以前と範囲が同じとは限りません。住所を手書きで直すより、ホテルや店の公式サイト、予約確認メール、スタッフから届いた案内を保存する方が確実です。
タオディエンも、エリア名と行政名を分けて読む
カフェや雑貨店を探すときに見かけるThảo Điền(タオディエン)は、旧phườngの名前でもあります。行政再編では、旧Thảo Điềnの全域がほかの地域とともに新しいphường An Khánhに統合されました。
つまり、タオディエンエリアの店の住所に「An Khánh」と書かれていても、それだけで別の場所へ移ったとは判断できません。また、新しいAn Khánhは旧Thảo Điềnより広い範囲です。An Khánhという住所だけで、タオディエンのカフェ街に近いとも判断しないようにしましょう。
旅行者が迷いやすい3つの場面と、確認の仕方
ホテルの住所が、予約サイトと公式サイトで違う
住所が食い違っていたら、まずホテル名、番地、通り名、地図のピンを見比べてください。同じチェーンでも店舗が複数あるため、名前の一部が同じというだけでは足りません。
出発前に、ホテルへ現在のベトナム語住所と地図リンクを送ってもらうと、送迎を手配するときにも使えます。予約サイトの表示を自分で新住所に変換する必要はありません。電話番号と入口の写真も一緒に保存しておけば、到着時の確認がしやすくなります。
GoogleマップやGrabでは、住所の文字よりピンを確認
古い住所を入力してどう表示されるかは、検索する施設やアプリの更新状況によって異なります。「旧区名でも必ず見つかる」「すべて新住所に更新済み」とは考えず、目的地が正しい位置にあるかを確認してください。
探すときは、次の順番が使いやすいでしょう。
- ホテルや店の正式名称で検索する。
- 候補の番地・通り名を、施設の案内と照合する。
- 地図を拡大し、目的地と入口の位置を見る。
- 同名の支店がある場合は、周辺の通りや目印まで確かめる。
Googleマップで場所を確認した後も、Grabで選んだ目的地のピンをもう一度見てください。乗車地点も同様です。大きな建物では、建物の位置と車が止まれる入口が一致しないことがあります。送迎を予約する場合は、住所に加えて地図リンクと集合場所を伝えると確認しやすくなります。
古いガイドブックの「1区」「3区」は、旧エリアとして読む
古いガイドブックにある区名は、その本が作られた時点の地域を知る手がかりになります。「1区」と書かれているからといって、紹介されている店がなくなったわけではありません。ただし営業状況や住所は、現在の公式案内で確認しましょう。
街で行き先を伝えるときも、区名だけで済ませず、店名と番地・通り名を見せるのがおすすめです。「Quận 1」という言葉を相手が理解しても、それだけでは具体的な目的地は決まりません。新旧どちらの行政名を使う場合も、地図を添える方が行き違いを減らせます。
よくある質問|ブンタウ、空港、サイゴンの呼び方
ブンタウも、今はホーチミン市ですか?
はい。旧バリア=ブンタウ省が統合されたため、ブンタウ地域も現在はホーチミン市に含まれます。ただし、海辺の旅行先としての「ブンタウ」と、新しい行政区分の「phường Vũng Tàu」は範囲が同じではありません。旧ブンタウ市の全域を、Vũng Tàuという一つのphườngに置き換えることもできません。
宿泊先を選ぶときは、住所の末尾だけでなく、泊まりたい海岸や観光スポットからの位置を確認してください。
タンソンニャット空港の住所も変わりましたか?
旧住所にある「Phường 2, Quận Tân Bình」は、行政再編によって新しい表記になります。旧タンビン区のPhường 2はPhường 1・3とともにphường Tân Sơn Hòaへ統合され、空港事務所の2026年の公式通知でもTân Sơn Hòaという住所が使われています。
ただし、空港事務所の住所と利用するターミナルの入口は分けて考えてください。配車や送迎では「空港」だけでなく、航空会社が案内するターミナルと集合場所を指定しましょう。住所の行政名が変わったことを、空港が移転したという意味に受け取る必要はありません。
「サイゴン」と「phường Sài Gòn」は同じ意味ですか?
同じではありません。街の呼び名として使われる「サイゴン」と、現在の行政区分であるphường Sài Gònは分けて読む必要があります。住所に「phường Sài Gòn」とあれば、特定の行政区域を示しています。ホーチミン市全体を指す住所ではありません。
住所は正式表記、観光エリアは旧区名を添えると分かりやすい
旅行の準備では、新しいphường名を全部覚えるより、訪れる施設の正確な住所と地図をそろえる方が役立ちます。ホテル、集合場所、帰りに立ち寄る店の3か所だけでも、ベトナム語表記を保存しておきましょう。
当サイトでは、施設の住所は確認できた最新の正式表記を基本にし、場所の説明では「旧1区・ドンコイ通り周辺」のように旧区名と目印を添える形が分かりやすくなります。ビンズオンやブンタウも旅行先の呼び名として使い、必要に応じて現在はホーチミン市に含まれる地域だと補足します。
行政上のホーチミン市と、観光で歩く中心部は、今まで以上に範囲が違います。予約をするときも車を呼ぶときも、最後に確かめたいのは「どの名前で呼ぶか」だけでなく、「地図のどこへ行くか」です。
旅全体の準備ははじめてのホーチミン完全ガイドへ。旧ビンズオン地域の行き先はビンズオンの観光スポットガイドも参考にしてください。
行政区分は2025年の再編に関する政府公表資料に基づき、2026年10月2日に確認。アプリの旧住所検索結果や、街頭で旧区名がどの程度通じるかを実地調査した記事ではありません。
参考資料


