新歓イベント-UP
毎年、新学年の始まりに合わせて、ホーチミン市師範大学では、在学生や新入生が交流し、さまざまな活動を楽しめるイベント「UP」が開催される。2026年の「UP」は、10月27日に開催された。会場にはさまざまなブースが並び、ゲームや交流イベントも行われ、多くの学生でにぎわった。その中でも、日本語学部の学生が運営する日本の文化空間は、多くの学生の関心を集めていた。けん玉やだるま落としなどの伝統的な遊びのほか、着物の試着や風鈴の絵付けなどを通して、日本文化に触れることができた。
日本文化空間の一角
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
日本語学部で4年間学ぶ中で、私は毎年この空間を訪れ、さまざまな体験活動に参加してきた。この記事では、ベトナムの大学で行われている文化交流活動を日本の読者に紹介するとともに、ベトナムの学生たちが実際の体験を通して、どのように日本文化に触れているのかを伝えたい。
日本の文化空間
日本らしい装飾が目を引くブース
多くのブースが並ぶイベント会場で、日本の文化空間は、日本らしい装飾が施され、遠くからでも目を引いていた。
ブースの左側にはひな人形が展示され、右側には伝統衣装と「願いの木」が飾られていた。木には色とりどりの短冊が結び付けられ、新年度の幸運や学業成就を願う言葉が学生たち自身の手で丁寧に書かれていた。風が吹くたびに短冊が揺れ、ブースに彩りを添えていた。
あの日、たくさんの願いや希望が短冊に綴られた
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
日本文化を感じさせるさまざまな装飾が並ぶこの空間には、多くの学生が集まっていた。特に、ひな人形や「願いの木」の前では、足を止めて写真を撮る学生の姿が多く見られた。
ブースのメインエリアには、記念撮影スポットのほか、福笑いやけん玉、折り紙といった日本の伝統遊びを体験できるコーナーが設けられていた。一方、風鈴の絵付けやだるまの装飾を行うワークショップは、作業スペースを確保するため、すぐ近くの別の場所に設けられていた。
学生たちがつくる文化交流の場
この日本の文化空間は、ホーチミン市師範大学の日本語学部の学生たちが、企画から準備、当日の運営までを担当している。
運営を担当する学生スタッフは、単なる案内役にとどまらず、日本文化と参加者をつなぐ「文化の架け橋」としての役割も果たしていた。学生たちは、それぞれの活動について参加者に丁寧に説明し、日本文化をより多くの人に伝えようと取り組んでいた。
日本文化空間には何がある?
風鈴とだるまを彩る、学生たちの創作時間
だるまの絵付け体験は、多くの学生に人気だった。
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
私がワークショップの会場に着いたとき、大きなテーブルはすでに学生たちで埋め尽くされていた。学生たちはそれぞれ自分の作品に集中し、風鈴に丁寧に色を塗ったり、だるまに好みの模様を描いたりしていた。
透明なガラス製の風鈴や、まだ何も描かれていないだるまを前に、学生たちは自分の好みに合わせて色やデザインを自由に選んでいた。決まった手本に従う必要はなく、一人ひとりが自分のアイデアを形にし、作品づくりそのものを楽しんでいた。
自分らしく彩る、日本の夏。
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
この活動では、自分だけの作品を作る楽しさを味わうことができる。色や模様を選び、自分の手で作品を仕上げていく過程で、学生たちはものづくりを楽しみながら、日本文化にも触れていた。
着物の試着体験
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
毎年、日本の文化空間の中でも、着物の試着コーナーは特に人気が高く、多くの学生が列を作って順番を待っている。日本語学部の学生スタッフは、着物の意味や着方を説明しながら、襟元や裾を整え、帯を結ぶところまで丁寧にサポートしていた。こうして参加者は、日本の伝統衣装である着物を実際に身にまとうことができた。
着物を身にまとった学生たちからは、初めての体験を楽しんでいる様子が伝わってきた。多くの学生にとって、着物を着るのは初めての経験だったのかもしれない。
日本の伝統遊びに挑戦
ワークショップエリアの落ち着いた雰囲気とは対照的に、伝統遊びのコーナーは学生たちの笑い声や歓声が響き、よりにぎやかな雰囲気に包まれていた。
数ある遊びの中でも、私が特に興味を持ったのはけん玉だ。子どもの頃、アニメ『ドラえもん』で登場人物がけん玉で遊ぶ場面をよく目にしていた。その頃から一度遊んでみたいと思っていたが、日本文化空間で、ようやく実際に体験する機会を得た。
一つひとつの体験が、日本文化をもっと好きになるきっかけに
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
一見簡単そうに見えるけん玉だが、実際にやってみるとなかなか難しい。何度も挑戦したものの、今でも一度も成功していない。けん玉コーナーでは、誰かが玉をうまく皿に乗せるたびに、大きな歓声が上がることもあった。その声につられて周りの学生たちも注目し、次々と挑戦していた。
けん玉のほかにも、会場には福笑いやだるま落とし、折り紙といった伝統的な遊びが用意され、それぞれのコーナーに学生たちの小さな輪ができていた。こうした遊びを楽しみながら、学生たちは日本の伝統文化に触れていた。
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
参加した学生の声\
日本の文化空間は、日本語学部の学生だけでなく、日本に興味を持ち、日本文化についてもっと知りたいと考える、さまざまな学部の学生にも開かれている。
だるまの絵付けワークショップで、私が特に目を引かれたのは、自分のだるまに丁寧に色を塗っていたフランス語学部の男子学生だった。話をしてみると、以前から日本文化が好きで、日本の伝統文化についてもっと知りたいと思っていたという。日本語学部の学生ではない彼が、なぜこのワークショップに参加したのか尋ねると、こう答えてくれた。
「自分の手で日本文化を感じてみたいと思いました。特に、だるまがとても好きです。」
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
おわりに
大学で過ごした4年間、私は毎年この日本の文化空間を訪れ、そのたびに新しい発見や異なる体験を楽しんできた。年によって活動内容は変わることもあるが、いつも印象に残っているのは、日本文化を多くの人に紹介しようと、準備から運営まで熱心に取り組む学生たちの姿だ。
これからもこの活動が続き、実際に体験することを通して、日本文化に興味を持つ学生がさらに増えていくことを願っている。
著者について
本記事は、ホーチミン市師範大学日本語学部に在籍する学生が、在学中に参加してきたイベント「UP」での経験をもとに執筆したものです。筆者は2026年10月27日、ホーチミン市師範大学(ホーチミン市 Chợ Quán 街区 An Dương Vương通り280番地)の会場を実際に訪れ、イベントの様子や日本文化に関する体験活動について取材しました。
記事では、現地で確認した情報をもとに、筆者自身の体験や観察を交えながら紹介しています。なお、掲載している写真や資料は、適切な許可を得たうえで使用しています。また、インタビューは対象者の同意を得て実施し、発言内容についても掲載の了承を得ています。
本記事のイベント名、開催日時および会場に関する情報は、ホーチミン市師範大学の青年団・学生会公式Facebookページに掲載された告知を参考にしています。


