大通りの裏には細い路地があり、そこにはホーチミン市の人々の日常があります。撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
ホーチミン市といえば、にぎやかな大通りや高層ビル、有名な観光地をイメージする人が多いですよね。でも、大通りから一歩裏へ入ると、そこには細い路地が迷路のように入り組んだ、全く別の街の顔が隠れているんです。 ベトナムの路地は、ベトナム語で「ヘム(Hẻm)」と呼ばれます。 そんなヘムを歩いてみるのも、ホーチミン市の人々の暮らしや地域の文化を知る一つの方法です。
迷路のように入り組んだホーチミンの路地
ホーチミンの路地は、大小さまざまな道が入り組んでいて、まるで迷路のようです。中には、バイク1台がやっと通れるほど狭い道や、曲がりくねった道もあります。そのため、初めて入る人は道に迷ってしまうこともあります。自転車やバイクで移動する人にとって、路地はとても便利な近道です。特に夕方のラッシュ時には、渋滞している大通りを避けるために利用する人もいます。
ホーチミン市では、路地の中からさらに小さな路地が枝分かれし、その奥にも別の路地が続いていることがあります。こうした複雑な道のつくりは、住所にも表れています。ホーチミン市人民委員会の住居番号に関する規定によると、路地の名前や家の番号には一定のルールがあります。名前のない路地には、通常、その入口のすぐ手前にある大通り沿いの家の番号が使われます。例えば、「123/4/5 Nguyễn Văn A」という住所は、Nguyễn Văn A通りから123番の路地に入り、さらに4番の路地へ進んだ先にある5番の家を指す場合があります。中には「/」がいくつも続く、スラッシュがいくつも入った住所 。
この家にたどり着くまで、何回曲がるのでしょうか?撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
私がホーチミン市に来たばかりの頃は、路地で何度も道に迷ったことがありました。Googleマップ の案内に従っていても、細い路地が複雑に入り組んでいて、どちらに進めばいいのか分からず、路地から出るまでにかなり時間がかかったこともありました。
路地には何がある?
路地で見られる日常風景
ホーチミン市の多くの路地では、家の前のスペースが通り道だけでなく、住民の日常生活の場にもなっています。私が住んでいる路地でも、朝になると、家の前にテーブルや椅子を出して、朝ごはんを食べながらおしゃべりをする人たちがいます。夕方になると、子どもたちが集まって、路地で走り回ったり遊んだりしています。時には、夜になると家の前で近所の人たちが集まり、一緒に食事をしたり、ちょっとしたパーティーを開いたりすることもあります。私にとって、こうした何気ない光景は、ホーチミン市の路地の日常の一部です。
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
路地の中にあるさまざまな店
住宅だけでなく、食事や遊びを楽しめる場所もたくさんあります。プラスチックのテーブルや椅子を並べた庶民的な食堂から、内装にこだわったレストランやカフェまで、さまざまなお店があります。一見、住宅しかなさそうな路地の奥にも、こうしたお店が隠れています。
CLB Cúc Cu
Hồng Bàng 通り743/19番地(旧6区)の路地にある古い集合住宅の中に、「Câu lạc bộ Cúc Cu(クックークラブ)」というインディー風のカフェがあります。私も週末によく友達と訪れるお気に入りの場所です。
店内の様子
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。このカフェの魅力は、コーヒーだけではありません。音楽イベントやボードゲームなども楽しめます。大通りのにぎやかさから離れた路地の奥にあり、忙しい一週間を終えた後、友達とゆっくり話したり、遊んだりして過ごせる場所です。
Ăn Cơm Uống Nước
Pasteur 通り63/18番地の路地(旧1区)にある「Ăn Cơm Uống Nước」は、タイ料理を楽しめるレストランです。
初めて訪れたときは、入り口が狭く、本当にこんな路地の奥にレストランがあるのかと少し不安になりました。しかし、さらに進むと、タイの文化を取り入れた装飾が施された、おしゃれで落ち着いた空間が広がっていました。入り口の素朴な雰囲気と、店内の雰囲気の違いが、今でも印象に残っています。ホーチミン市の中心部にある小さな路地でも、こうした海外の雰囲気を楽しめるレストランに出会うことができます。
撮影:ホーチミン観光情報ガイド編集部。
路地のさまざまなお店
おしゃれなレストランやカフェだけでなく、ホーチミン市の路地には、家の前にプラスチックのテーブルや椅子を並べた庶民的な食堂もあります。特別な飾りつけはありませんが、こうした小さなお店も、ホーチミン市の路地でよく見られる風景の一つです。
路地の中にあるのは、飲食店だけではありません。日用品を買える小さな雑貨店や美容室、理髪店のほか、ビリヤード場やカラオケ店など、遊びを楽しめる場所もあります。
路地ごとに異なる街の顔
同じ仕事をする人々が集まる路地
ホーチミンに数多くある路地の中には、同じ仕事をする人々が集まって暮らし、その仕事にちなんだ名前で呼ばれている路地もあります。
こうした路地には、伝統的な手工芸品づくりや商売など、同じ仕事をする家族が多く暮らしています。家は小さく、限られたスペースに多くの人が暮らしているところもありますが、家の前や室内の一部を作業場や店として利用しています。
ほうき作りの職人街は、Phạm Văn Chiêu通り192番の路地にあります。撮影:ベトナムの「Lao Động」紙
Dương Bá Trạc通り157番の路地
大通りから見ると、ホーチミン市の路地はどれも似ているように見えるかもしれません。しかし、中に入ってみると、それぞれの路地に違った特徴があることが分かります。
その一例が、Dương Bá Trạc 通り157番の路地(旧8区)です。ここには、イスラム教を信仰するチャム族という民族の人々が多く暮らしています。住民たちは、今も自分たちの伝統や習慣を大切にしています。路地では、ヒジャブと呼ばれる頭を覆う布を身につけた女性や、伝統的な服装をした男性を見かけることもあります。
撮影:Saigoneer
私も以前、ラマダンの時期に開かれた食のイベントで、この路地を訪れたことがあります。会場には、伝統的な料理を売る屋台がたくさん並んでいました。私にとって、この場所を訪れる楽しさは、料理だけでなく、自分が暮らす街にあるイスラム教徒のコミュニティについて知ることができる点にもあります。こうした路地を歩くと、にぎやかな街並みの裏側にも、ホーチミンにはまだまだ知らない地域の文化がたくさんあることに気づきます
路地を歩く際の注意点
ホーチミンの路地を歩くと、観光地ではなかなか見られない地元の人々の日常生活に触れることができます。ただし、多くの路地は住民が普段から生活している場所であり、観光客向けに整備された場所ではありません。そのため、散策する際にはいくつか気をつけたいことがあります。
1.路地の行き止まりに注意
ホーチミンの路地には細い分かれ道が多く、別の通りにつながっている道もあれば、住宅の前で行き止まりになる道もあります。
初めて入る路地では、地図で道を確認し、「行き止まり」や「犬に注意」など、住民が設置した注意書きにも目を向けましょう。
2.路地の散策は徒歩がおすすめ
狭い路地では、歩いたほうが周囲の様子をゆっくり見ることができます。ただし、通路の真ん中や民家の入口の前で長時間立ち止まらないようにしましょう。
3.狭い路地でもバイクに注意
狭い路地でも、バイクが頻繁に通ることがあります。特に、見通しの悪い曲がり角や分かれ道では、周囲に十分注意しましょう。
4.雨季の路地歩きに注意
大雨の後は、低い場所にある路地に水がたまることがあります。滑りやすい路面やマンホールのふた、水がたまった場所に注意しましょう。
5.住民のプライバシーを尊重する
住民を近くから無断で撮影したり、家の中をのぞいたり、住宅街で大きな声を出したりすることは避けましょう。
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本記事は、筆者自身の視点や現地での体験に加え、店舗が公表している公式情報や現地メディアの関連記事をもとに執筆しています。
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