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日本語ガイドとして約30年。チャン・トゥアン・ヴィンさんが語る、仕事の歩みとメコンデルタ観光

日本語ガイドとして約30年。チャン・トゥアン・ヴィンさんが語る、仕事の歩みとメコンデルタ観光

by ホーチミン観光情報ガイド
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日本語を学び始めたのは1986年。ガイドとして働き始めたのは1998年。チャン・トゥアン・ヴィンさんは、約30年にわたり日本語を使って旅行者とベトナムをつないできた。日本語を学ぶためにハノイへ渡ったこと、仕事を始めた頃に経験した言葉の違い、そして旅行者にベトナムの何を知ってほしいと考えているのか。2026年10月9日、ホーチミン観光情報ガイドのスタッフがヴィンさんと対話し、これまでの仕事を振り返ってもらった。

話題の一つとなったのは、メコンデルタの観光だ。川を船で巡り、現地の料理を味わうだけでなく、地域の人々の仕事や暮らしに触れる機会も増やせないか。長年、旅行者を案内してきたヴィンさんの話から、日本語ガイドという仕事の実情と、旅先をより深く知るための視点が見えてくる。

日本語ガイドとして約30年。チャン・トゥアン・ヴィンさんが語る、仕事の歩みとメコンデルタ観光

日本文化への関心から始まった日本語学習

ヴィンさんが日本語に関心を持ったのは、若い頃だった。日本の仕事に対する姿勢や働き方、文化、昔から受け継がれてきた習慣に興味を持ったことが、学習のきっかけになったという。

当時、ホーチミン市では日本語を学べる環境が限られていた。ヴィンさんは1986年から1990年まで、ハノイで日本語を学んだ。現在は学校や語学教室に加え、オンライン教材などを利用して学習する方法もあるが、当時は学ぶ場所そのものを探す必要があった。

ヴィンさんは、当時の思いについて次のように話す。

「小さい頃から日本が好きでした。日本人の仕事の進め方や文化、今も受け継がれている伝統や習慣に興味があったからです」

日本語を学ぶためにハノイへ行ったことについても、当時の状況を振り返った。

「1986年から1990年までハノイで日本語を勉強しました。当時、サイゴンには日本語学校がなかったからです」

日本語を学び始めた理由は、仕事に直結する資格や技能を身につけることだけではなかった。日本の文化や習慣への関心が、学びを続ける動機になっていた。その後、日本語はガイドの仕事に就き、ベトナムを訪れる日本人旅行者と接するための大切な基盤となった。

外国語を学ぶ理由は人によって異なる。仕事で必要になってから学ぶ人もいれば、文化や映画、音楽、人々の暮らしに興味を持ったことが出発点になる人もいる。ヴィンさんの場合、日本への関心から始まった学習が、長年にわたる観光の仕事へとつながっていった。

ガイドの仕事は、日本語を話すことだけではない

日本語を学び終えたヴィンさんは、ガイドとして働くことを希望した。当時は、日本企業が日本から講師を招き、ガイドを担当する人たちに研修を行うこともあったという。研修では、団体旅行の案内方法に加え、日本の習慣や文化、旅行者への対応についても学んだ。

ヴィンさんは、当時の研修について次のように説明する。

「日本の会社が日本から先生を招いて、団体の案内方法や日本の習慣、お客様への対応などを教えてくれました」

ガイドの仕事では、訪問先の情報を日本語に置き換えるだけでは十分ではない。歴史や文化について理解し、旅行者に合わせて説明する内容を選び、限られた時間のなかで必要な情報を伝える力が求められる。移動や観光の途中で予定が変わった場合には、状況を説明しながら、できるだけ円滑に旅程を進めることも必要になる。

例えば、同じ観光地を案内する場合でも、歴史に関心のある旅行者には建物や地域の成り立ちについて詳しく説明することができる。一方、滞在時間が短い場合は、場所の背景を伝えながら、次の予定に間に合うよう説明の内容を整理する必要がある。ガイドには、知識を持つことに加え、その場に応じて伝え方を調整する力も欠かせない。

また、旅行者への対応では、相手の質問を正確に理解することも重要だ。質問の意図がすぐにわからないときには、内容を確認してから答える。文化や習慣の違いについて説明するときには、一方的に情報を伝えるのではなく、相手が理解しやすい言葉を選ぶ。こうした一つひとつの対応が、旅行中のコミュニケーションを支えている。

ヴィンさんの経験からも、ガイドの仕事は語学力だけで完結するものではないことがわかる。言葉を使って人と接しながら、訪問先についての知識を深め、旅行者の関心や旅程に応じて情報を届ける。こうした実務の積み重ねが、長く仕事を続けるうえでの土台になってきた。

仕事を始めた頃に経験した、日本語の聞き取りの難しさ

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日本語ガイドとして働き始めた頃、ヴィンさんが難しさを感じたことの一つが、実際の会話を聞き取ることだった。教科書で学ぶ日本語と、日常生活で使われる日本語には違いがある。話す速さや発音、言い回しなどは人によって異なり、地域による言葉の違いに触れることもある。

ヴィンさんは、当時の経験を次のように振り返る。

「仕事を始めたばかりの頃は、日本人のお客様が話す地域特有の言葉を聞き取るのが難しいことがありました。特に大阪の方の話し方は、最初は聞き取るのが難しかったです」

その後、日本人と接する機会を重ねることで、少しずつ聞き取れるようになっていったという。

「日本人と接することに慣れてくると、だんだん聞き取れるようになりました」

これは、外国語を学ぶ人が実際の会話を通じて経験することのある課題だ。学習教材で使われる表現に慣れていても、日常の会話では、初めて聞く言い回しや発音に戸惑うことがある。聞き取れなかった言葉を確認したり、前後の会話から意味を推測したりする経験を積むことで、理解できる表現が少しずつ増えていく。

ガイドの場合、旅行者との会話は仕事の一部であり、相手の質問や希望を正しく理解することが、案内やサポートにもつながる。わからないことをそのままにせず、必要に応じて聞き返したり、別の言葉で確認したりする姿勢も大切だ。

ヴィンさんの話は、特定の地域の話し方を評価するものではない。仕事を始めたばかりの時期に、学習してきた日本語と実際の会話との違いに触れ、経験を重ねるなかで対応できる範囲を広げてきたという、本人の歩みを伝えるものだ。

外国語を使う仕事では、学習を終えた時点がゴールではない。実際に人と話し、相手の言葉を聞き、必要な情報を確認する。その繰り返しが、仕事で使える言語力を育てていく。

日本人旅行者がベトナムで楽しみにしていること

約30年にわたりガイドを務めてきたヴィンさんは、日本人旅行者がベトナムの食文化や景観、人々との交流に関心を持つ場面を見てきたという。旅行者は、現地の料理を味わうことや、ベトナムの暮らしについて知ること、代表的な観光地を訪れることなどを楽しみにしている。

特に初めてベトナムを訪れる旅行者にとっては、事前に聞いていた料理を実際に食べたり、街を歩いて現地の雰囲気に触れたりすることも、旅の目的の一つになる。観光名所を訪れるだけでなく、食事や買い物、地元の人との会話を通じて、その土地を知る機会もある。

ただし、旅行者の関心は一様ではない。歴史や建築を詳しく知りたい人もいれば、料理や市場に興味を持つ人、伝統工芸の製作過程を見てみたい人もいる。旅程を考える際には、旅行者が何を知りたいのか、どのような体験を希望しているのかを確認することが重要だ。

ヴィンさんは、最近の日本人旅行者について、自身が仕事を通して接する範囲では、以前より少なくなったと感じているという。その理由として、円相場や経済状況の影響に加え、インターネットで情報を集め、個人で旅行を手配する人が増えていることも関係しているのではないかと考えている。

ただし、これはヴィンさん自身の経験に基づく印象であり、日本人旅行者全体の増減を示す統計ではない。旅行者数の変化や旅行形態の傾向を正確に把握するには、公的な観光統計などを確認する必要がある。

旅行者が自分で情報を調べて旅程を組み立てる場合でも、現地でガイドを利用する場合でも、旅行前に訪問先の情報を確認しておくことは役に立つ。特に、移動にかかる時間や観光地での滞在時間を把握しておくと、希望する体験を旅程に組み込みやすくなる。

ガイドの役割は、旅行者を目的地へ案内することだけではない。場所の歴史や文化的な背景を説明し、旅行者が抱いた疑問に答えることも、現地での理解を深める助けになる。ヴィンさんの話からは、旅の形が変わっても、現地の情報を伝え、人と場所をつなぐ仕事にはさまざまな役割があることがうかがえる。

短い滞在でも、旅程に余裕を持たせる意味

ヴィンさんによると、日本人旅行者のなかには、滞在期間が短くても多くの場所を訪れ、ベトナムについて学び、現地の料理を味わいたいと考える人がいる。限られた日数でできるだけ多くの体験をしたいという希望は、旅行計画を立てるうえで自然なものだ。

一方、実際の旅程では、観光地を訪れる時間だけでなく、移動、食事、休憩にかかる時間も考慮する必要がある。地図上では近く見える場所でも、交通状況によっては移動に時間がかかることがある。訪問先を多く組み込むと、一つひとつの場所で過ごせる時間が短くなり、説明を聞いたり、周辺を歩いたりする余裕がなくなる場合もある。

そのため、旅程を組む際には、まず自分が何を楽しみにしているのかを整理するとよい。初めて訪れる観光名所を優先したいのか、ベトナム料理を味わいたいのか、地域の暮らしや文化について知りたいのか。目的が明確になれば、訪問先を選びやすくなる。

例えば、地域の生活文化に関心がある場合は、市場を歩く時間や、地元の産品が作られる場所を訪れる時間を確保する方法がある。観光名所を複数巡る旅程とは異なり、特定の場所で時間を過ごすことで、日常の暮らしや仕事について知る機会が生まれる。

もちろん、すべての旅行でゆっくり過ごす必要があるわけではない。短い滞在のなかで複数の観光地を巡ることにも、それぞれの楽しみ方がある。重要なのは、移動時間や現地での滞在時間を踏まえ、無理のない計画を立てることだ。時間に余裕があれば、交通状況や天候などによって予定が変わった場合にも対応しやすい。

メコンデルタ観光で、川の景色の先にあるもの

今回の対話で、ヴィンさんが特に話したいテーマの一つとして挙げたのが、メコンデルタの観光だった。現在のツアーでは、川を船で巡り、昼食を取ってからホーチミン市へ戻るような行程が多いと感じているという。ヴィンさんは、地域について知るための時間を、もう少し増やせないかと考えている。

ヴィンさんは、ツアーの観光時間について次のように話す。

「今のメコンデルタのツアーは、川を巡って昼食を食べて帰るものが多いです。実際に観光できる時間は2時間ほどで、少し短いと感じます」

日本語ガイドとして約30年。チャン・トゥアン・ヴィンさんが語る、仕事の歩みとメコンデルタ観光

この「2時間」という時間は、ヴィンさんが自身の経験から話したものであり、すべてのメコンデルタツアーに当てはまる数字ではない。出発時間や訪問先、移動方法、ツアーの内容によって、現地で過ごせる時間は異なる。

ヴィンさんが提案するのは、川の景色を楽しむ体験に加え、地域の仕事や文化について知る機会を旅程に取り入れることだ。具体例として、ベンチェ省でココナッツを使った手工芸品の製作現場を訪れたり、メコンデルタに残る古い民家を見学したりすることを挙げている。

メコンデルタでは、川や運河を巡る船旅に加え、農産物や地域の産品に関わる場所を訪れることもできる。ベトナム国家観光局の観光情報サイト「Vietnam Tourism」でも、ベンチェ省のココナッツキャンディー工房や、地域の暮らしに触れる体験が紹介されている。

参考:Vietnam Tourism「Du ngoạn trong ngày ở Đồng bằng sông Cửu Long」

同サイトでは、ココナッツキャンディーの製造工程を見学できる工房や、メコンデルタの人々の暮らしに触れる訪問先が紹介されている。こうした情報からも、メコンデルタ観光には、川の景色を楽しむこと以外にも、地域の産業や生活文化を知る切り口があることがわかる。

ヴィンさんは、古い民家を訪れることも、地域について理解を深める機会になると考えている。建物の造りや残されている道具、家にまつわる話などは、その地域で暮らしてきた人々の生活や歴史を知る手がかりになる。訪問先によって見学できる内容は異なるが、景観だけでは伝わりにくい背景を知ることで、旅の見方も広がる。

また、ヴィンさんは自身の経験から、欧州からの旅行者が古い民家を訪れる場面を目にすることがあると話している。ただし、これは本人がガイドとして接してきた旅行者についての印象であり、国籍や地域による旅行者全体の関心の違いを示す統計ではない。旅行者がどのような場所に興味を持つかは、個人の関心や旅の目的によって異なる。

地域の暮らしに触れる体験を取り入れる際には、訪問先で何を見学できるのか、説明を受けられるのか、移動にどれくらい時間がかかるのかを確認しておきたい。すべてのツアーで工房や古民家を訪問できるわけではないため、予約前に行程を確認することが重要だ。

地域の仕事や暮らしを知ることも、旅の体験になる

メコンデルタの観光では、船で川や運河を巡ることが代表的な体験の一つとして知られている。水辺の風景や緑の多い景観は、この地域を訪れる理由の一つだ。しかし、ヴィンさんの話からは、地域の風景を楽しむことに加えて、その土地でどのような仕事が営まれ、どのような文化が受け継がれているのかを知ることにも価値があると考えていることが伝わってくる。

例えば、ココナッツを使った製品の製造現場を訪れると、地域の産品がどのように加工され、商品になっていくのかを知る機会がある。古い民家を訪れる場合は、建物の特徴だけでなく、家族の歴史や地域の生活様式について話を聞けることもある。こうした体験は、旅行者が地域の暮らしを具体的に理解するための手がかりになる。

ただし、見学できる内容や受け入れの条件は、施設や訪問先によって異なる。製造工程を見られる時間が限られている場合や、事前予約が必要な場合も考えられるため、実際に訪れる際は、運営者やツアー会社が案内する最新情報を確認したい。

また、地域の文化を紹介する体験を旅程に組み込む場合には、移動時間と滞在時間のバランスも大切になる。訪問先を増やすだけでは、必ずしも理解が深まるとは限らない。一つの場所で説明を聞いたり、実際の作業を見たりする時間を確保することで、得られる情報が具体的になることもある。

ヴィンさんの提案は、メコンデルタのツアーを評価するためのものというより、地域の魅力をどのように旅行者へ伝えられるかという問いにつながっている。川の景色や食事を楽しむことに加え、地域の仕事や暮らしを知る選択肢があれば、旅行者は自分の関心に合わせて旅の内容を考えやすくなる。

約30年の経験を通して見えてきた、ガイドという仕事

1986年から1990年までハノイで日本語を学び、1998年にガイドの仕事を始めたチャン・トゥアン・ヴィンさん。日本語を学び始めた頃の関心は、長年にわたって旅行者と接する仕事へとつながった。仕事を始めたばかりの頃には、実際の会話で使われる言葉を聞き取る難しさも経験したが、人と接する機会を重ねながら、仕事で必要なコミュニケーションの力を身につけてきた。

今回の対話では、日本語の学習やガイド業務の話に加え、旅行者がベトナムでどのような体験をできるかについても話題になった。ヴィンさんは、観光地を訪れることだけでなく、地域の産業や伝統的な住居、そこで暮らす人々について知る機会も、旅の内容を広げる要素になると考えている。

旅行の楽しみ方は人によって異なり、限られた時間で多くの場所を巡りたい人もいれば、一つの地域でゆっくり過ごしたい人もいる。だからこそ、旅程を考える際には、訪問先の数だけでなく、何を知りたいのか、どのような時間を過ごしたいのかを意識することが大切だ。

ホーチミン市からアクセスできるメコンデルタには、川や運河の景観、地域の食文化、ココナッツをはじめとする産品、伝統的な住居など、さまざまな切り口がある。旅行前に訪問先の内容を確認し、自分の関心に合った体験を選ぶことで、限られた滞在時間をより有効に使える。

約30年にわたってガイドとして働いてきたヴィンさんの話から伝わってくるのは、ガイドの仕事が単に旅行者を目的地へ案内するだけではないということだ。言葉を通じて情報を伝え、現地の文化や暮らしを説明し、旅行者がその場所を理解するためのきっかけをつくる。そうした役割が、観光の現場を支えている。

取材について

本記事は、2026年10月9日にホーチミン観光情報ガイドのスタッフが、チャン・トゥアン・ヴィンさんにベトナム語でインタビューした内容をもとに構成している。発言の引用は、読みやすさを考慮して日本語に翻訳し、一部表現を整えている。内容は本人の発言の趣旨を踏まえているが、日本語の引用文は原文の逐語的な記録ではない。

日本人旅行者の動向やメコンデルタ観光に関する見解は、ヴィンさん自身の仕事上の経験に基づく意見として紹介しており、市場全体の統計を示すものではない。メコンデルタの観光に関する補足情報については、ベトナム国家観光局の公式観光情報サイト「Vietnam Tourism」を参照した。ツアーの内容や訪問先、料金、営業時間などは事業者や時期によって異なるため、実際に訪問・予約する際には、各施設やツアー提供者が案内する最新情報を確認してほしい。

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本記事は、ホーチミンの観光・旅行情報を日本語で発信するホーチミン観光情報ガイド編集部が執筆・編集しています。店舗情報や観光情報を外部サイトからそのまま転載するのではなく、公開情報を確認したうえで、必要に応じて現地取材・実食を行い、旅行者が実際に利用するときに役立つ情報として整理しています。

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