子ども時代の思い出と、現在の人気スナックを比べてみた
ベトナムのおやつと聞くと、多くの人は甘いお菓子や有名ブランドのスナック菓子を思い浮かべるかもしれません。
しかし、約10年前のベトナムには、ブランドとは無縁でも子どもたちに大人気だった“ローカルなおやつ”が数多くありました。今ではほとんど見かけないものも多く、たまに見つけると懐かしさで胸がぎゅっとなるほどです。
今回は、私が子ども時代によく食べていた“昔のおやつ”と、現在のベトナムで親しまれている“今のおやつ”を紹介しながら、その違いについて語りたいと思います。
昔のベトナムの定番おやつ
1. 糸菓子(kẹo chỉ)
消えつつある、私の No.1 懐かしおやつ
私の中で一番思い出深いおやつがこの「糸菓子」です。
文章を書いている今ですら食べたくなるほどですが、現在では売っている場所がほとんどなくなり、見かけること自体がとてもレアになりました。
昔、糸菓子の売り手は自転車に小さな屋台を載せ、「kẹo chỉ」と書かれた赤い看板をつけて売り歩いていました。しかし今はそうした光景すら見なくなり、どこで買えるのかもわかりません。
名前の通り、砂糖を伸ばして作った細い“糸状”の飴が特徴ですが、そのまま食べるのではなく、パリパリのライスペーパーにのせ、ピーナッツ、ココナッツ、練乳をかけて巻いて食べます。優しい甘さと香ばしさが口に広がり、一口で“子ども時代の味”がよみがえる忘れられないおやつです。
2. 冷凍ヨーグルト&冷凍スムージー(sữa chua / sinh tố bịch)
雑貨屋の味、夏の思い出
今ではカップや瓶入りのヨーグルトが当たり前ですが、子どもの頃は近所の小さな雑貨屋で、袋に入ったヨーグルトやスムージーを買っていました。
袋の口は輪ゴムで縛ってあり、
「ゴムを外して食べる派? それとも袋の端を歯で噛んで食べる派?」
で友達とよく盛り上がったものです。私は後者派で、こうすると水分が出にくく、最後まで濃い味で楽しめました。
3. アイスクリーム入りバインミー(bánh mì kẹp kem)
素朴なのに最強の組み合わせ
ふわっとしたバインミーにアイスクリームを挟み、砕いたピーナッツと練乳をトッピングするだけのシンプルなおやつ。ですが、この組み合わせが驚くほど美味しく、当時の子どもたち(もちろん私も!)に大人気でした。
主に屋台で売られており、今でも学校の前で見かけることがあるものの、数はかなり減ってしまいました。
4. フルーツグミ(kẹo dẻo trái cây)
10歳の頃、女の子に大人気だった小さなお菓子
丸い小さなケースに入っていて、パウダーケースのような見た目で、フタを振ると「カラカラ」と音がするのが楽しくて仕方ありませんでした。
もちもち食感で甘さも控えめ。イチゴ味やブドウ味など種類も豊富で、小さいながらも子ども心をくすぐる最高のおやつでした。
5. ボンボン(Bánh bòn bon)
中部地方でしか出会えない、もちもちローカルおやつ
「bòn bon」と2文字だけで検索すると果物の写真が出てきますが、このボンボンというお菓子はその果物とは全く関係がありません。
しかもこのお菓子は中部地方でしかほとんど売られておらず、ホーチミン市では見かけることすら珍しく、存在を知らない人がとても多いです。
私はニャチャン以外の地方出身の友人たちにも聞いてみましたが、みんなこのお菓子を知らず、「初めて聞いた!」と言うほど珍しいものでした。
中には南部のバインタムと勘違いする人もいるくらいです。
ボンボンはタピオカ粉で作られるため、バインタムよりもずっともちもち。
丸めて串に刺し、削ったココナッツに転がしてまぶし、最後に塩入りのすり潰したピーナッツと一緒に振って味をつけます。
噛むたびにもちもち感と香ばしさが広がり、とても美味しいおやつです。
昔はニャチャン市中心部の海沿いでよく売られていましたが、最近はどんどん見かけなくなってきました。
思い出すだけで少し切なくなるほどで、ニャチャンに帰るときは「また食べられるかな」と期待してしまいます。
まとめ:
“昔のおやつ”には、今でも色あせない思い出がつまっている
今回紹介したように、昔のベトナムのおやつには素朴さや温かさがあり、どれも子ども時代の記憶と強く結びついています。
どんどん姿を消してしまったものもありますが、そのぶん思い出としてより鮮明になり、今でもふと恋しくなる存在です。
この記事ではまず “昔のおやつ” を中心にお話ししましたが、
“今のベトナムのおやつ” については、近いうちに Part 2 としてまとめる予定です。
新しい味や進化したスタイル、今の若い世代が夢中になっているスナックまで、楽しく紹介していきますので、ぜひ次回の記事も楽しみにしていてくださいね!
