村山富市元首相の死去に寄せて
2025年10月17日。ニュースの見出しに「村山富市元首相が死去 享年101歳」と出た瞬間、私は画面の前でしばらく動けなかった。
遠い国・日本のニュースなのに、なぜか胸がぎゅっと締めつけられた。
私はベトナムに生まれ、戦争の記憶を本や祖父母の話で聞いて育った世代だ。
だからこそ、かつて日本の首相として「過去の侵略に心からお詫びします」と世界に向けて語った人の言葉が、どれほど重いものだったかを知っている。
「謝罪する勇気」を持った政治家
村山談話——1995年8月15日に発表された、歴史的なスピーチ。
あの言葉は単なる外交文書ではない。アジアの人々の心に静かに届く「癒し」だった。
謝ることは、時に勇気が要る。
けれど、村山氏はその勇気を持っていた。
その姿勢があったからこそ、今日の日本が「信頼できる国」として見られるようになったのではないかと、私は思う。
ベトナム人として感じた共鳴
私たちベトナム人も、かつて長い戦争を経て平和を手にした国だ。
だからこそ、「過去を見つめ、未来を語る人」には心からの敬意を抱く。
ニュースのコメント欄には、日本の人々の追悼の言葉が並んでいた。
そのひとつひとつを読むたびに、なぜか私の胸にも温かいものが広がった。
私たちは国籍が違っても、同じ「平和を望む人間」なのだと思う。
村山氏の死去は、私にとって「平和とは何か」を改めて考える時間になった。
日本への祈りと感謝
村山富市氏の101年の人生は、「謝る勇気」と「信じる力」に満ちていた。
ベトナムからも、静かにご冥福を祈りたい。
そして、日本の皆さんへ。
あなたたちが今、ひとりの政治家を偲ぶように、私たちも心の中で彼を思っています。
国は違っても、平和を信じる気持ちはひとつ。
彼の言葉は、これからもアジアの空を静かに包み続けるでしょう。
