6年間の留学で感じた「助け合う心」
2025年10月、日本政府がベトナムへ緊急支援物資を送ったというニュースが報じられました。
台風10号と11号による豪雨や洪水の被害を受けた人々のために、浄水装置40台、毛布5,100組、給水タンク1,000個、多目的プラスチックシート50枚がハノイに到着したそうです。
ニュースを見た瞬間、「あのとき日本で感じた恐怖と不安」を思い出しました。
日本で体験した“自然の力”
私は2018年から2024年までの6年間、日本に留学していました。
その間、いくつかの大きな台風や豪雨を経験しました。
2018年の「西日本豪雨」では、テレビの画面いっぱいに映る濁流と土砂崩れ。
その数日後には、関西空港を水没させた台風**ジェービー(Jebi)が上陸し、交通が完全に止まりました。
2019年には、東京近郊を直撃した台風ファクサイ(Faxai)**が発生。
街の電気が消え、暗闇の中で不安そうに歩く人々の姿が今も記憶に残っています。
それでも、日本では誰もが冷静に行動し、避難所には整理された毛布と水、そして温かい言葉がありました。
「災害の国」と呼ばれる日本で学んだのは、恐怖よりも「備える力」と「支え合う文化」でした。
今、ベトナムで起きていること
そして今、私が暮らすベトナムでも、大きな台風が続きました。
被災地の映像を見るたびに、胸が締め付けられます。
屋根を失った家、冠水した田畑、避難所で毛布を抱える子どもたち――
それは、6年前の日本とまったく同じ光景です。
そんな中、日本政府の支援物資がハノイに届いたというニュースは、
単なる外交の出来事ではなく、私にとって心の橋のように感じられました。
「今度は日本が、あのときの恩を返す番なんだ」と。
災害は“遠い国の話”ではない
ベトナムでも日本でも、自然の力を完全に止めることはできません。
けれど、人と人が助け合う力は、どんな嵐よりも強いと信じています。
日本で学んだ“準備と連携の大切さ”を、今はベトナムで生かすとき。
そして、ベトナムで見た“どんな状況でも笑顔を忘れない強さ”を、また日本に伝えたい。
災害は私たちを分断するものではなく、むしろ心をつなぐ機会になるのだと、
今回の支援ニュースを見て改めて感じました。