1.花村の歴史
サデック花村は、ベトナム・ドンタップ省サデック市に位置し、メコンデルタ地域で最も歴史のある花の村の一つです。ここでの花づくりは100年以上前に始まり、何世代にもわたって受け継がれてきました。当初は、人々の精神的な生活や伝統的な行事のために花を育てていましたが、次第に主要な生業として発展していきました。
現在、花村の総面積は900ヘクタールを超え、数千世帯が花の栽培に携わっています。栽培されている花や観賞植物は2,000種類以上に及び、切り花、盆栽、観賞用の樹木など多岐にわたります。サデックの花はベトナム国内各地で消費されているほか、一部は海外にも輸出され、地域の経済と文化において重要な役割を果たしています。
2.文化遺産としての価値と特徴的な景観
2025年12月、サデックの花作りは、ベトナムの国家無形文化遺産として正式に認定されました。これは、この花村が持つ長い歴史と文化的価値を示すものです。
サデック花村の大きな特徴は、高床式の棚の上で花を育て、その下を水路が流れる独特の栽培方法にあります。この仕組みは自然条件に適しているだけでなく、他にはない景観を生み出しています。村の風景は季節ごとに変化しますが、自然と人々の暮らしが調和した空間が保たれており、ベトナム南部の水郷地帯ならではの生活様式を色濃く映し出しています。
3.サデックの花農家の暮らしに触れる体験
現在、サデック花村は花卉の生産地であると同時に、文化体験型の観光地としても注目されています。訪問者は、日々の花の手入れ作業を見学したり、花畑の間に続く細い道を歩きながら、地元の人々の穏やかな暮らしを感じることができます。
ここでの体験は娯楽性を重視したものではなく、生活、労働、そして人と自然との調和の関係を理解することに重点が置かれています。こうした素朴さと秩序ある暮らしこそが、現代の観光の流れの中で、サデック花村が長く人々を惹きつける理由となっています。
