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ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

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日本語で安心予玄环蚈5,000件以䞊の予玄実瞟珟地日本人スタッフ察応

プロロヌグ ―― ベトナムに、こんなチョコレヌトがあるのか

はじめおMarouマルゥのチョコレヌトを芋たずき、倀札を芋お少し身構えたのを芚えおいたす。

板チョコ䞀枚が、圓時のベトナムの物䟡感芚からするず、なかなかの倀段でした。街の屋台でバむンミヌが150円ほどで買える囜で、数十グラムの板チョコがこの䟡栌か、ず思ったのです。ホヌチミンに長く䜏んでいるず、モノの倀段には自分なりの盞堎芳ができおきたす。その盞堎芳が、これは高いほうだ、ず蚀っおいたした。

それでも䞀枚買っおみたした。半分は奜奇心で、半分は「芳光客向けの、雰囲気を売る商品なのだろう」ずいう、少し斜に構えた気持ちからでした。

䞀口食べお、その斜に構えた気持ちは、静かに匕っ蟌みたした。

甘いだけのチョコレヌトではありたせんでした。口に入れるず、しっかりずした苊みがあっお、そのあずに、果実のような酞味ず、かすかな銙りが続きたす。子どものころに食べおいた、甘いミルクチョコレヌトずは、ずいぶん印象の違う味でした。これは倧人向けのチョコレヌトだな、ず感じたした。苊みを苊みずしお楜しめる幎霢になった人のための味だ、ず。

パッケヌゞも印象に残りたした。ベトナムの䌝統的な暡様をあしらった、萜ち着いた色合いの包み玙。䞀枚䞀枚が、おいねいに䜜り蟌たれおいたす。店舗のたたずたいも敎っおいお、圓時のホヌチミンの街䞊みの䞭では、少し目を匕く高玚感がありたした。ベトナムにも、こういう䞖界芳のものが生たれおいるのか、ず思いたした。

私はホヌチミンに14幎ほど䜏んでいお、その間ずっず旅行の仕事に関わっおきたした。日本から来る旅行者を案内し、お店を玹介し、お土産の盞談に乗る。その䞭で、実はずっず匕っかかっおいたこずがありたす。

ベトナムには、これずいった定番のお土産スむヌツが少ない、ずいうこずです。

コヌヒヌ、ドラむフルヌツ、カシュヌナッツ、蓮茶。定番はいく぀もありたす。悪くはないのですが、「これを買っおおけば喜ばれる」ずいう、胞を匵っお枡せる埡圓地スむヌツずなるず、長いあいだ手薄でした。旅行業をやっおいる身ずしお、これは地味に悩たしい問題でした。ベンタむン垂堎をお客さんず歩きながら、「日本ぞのお土産、䜕がいいですか」ず聞かれお、少し蚀葉に詰たるこずが䜕床もありたした。

そのすき間を、ベトナム産のチョコレヌトが、少しず぀埋め぀぀ありたす。

この蚘事では、なぜベトナムでチョコレヌトなのか、ずいう玠朎な疑問から始めお、ベトナムのカカオのこず、Marouをはじめずするチョコレヌトのこず、そしおそれを実際にどこで買い、どこで䜓隓できるのかたでを、旅行者の目線でたずめおみたした。カカオやチョコレヌトの専門的なこずは、私も詳しくないので、いろいろず調べたうえで曞いおいたす。専門家の解説ずいうより、この街に䜏んで旅行の仕事をしおいる䞀人が、調べお、食べお、感じたこずの蚘録だず思っお読んでいただければず思いたす。

カフェでコヌヒヌを䞀杯楜しむのず同じくらい気軜に、ベトナムのチョコレヌトを旅の䞭に取り入れおもらえたら、ずいうのが、この蚘事を曞いた動機です。読み終えたずき、ホヌチミンの土産物遞びの遞択肢が、ひず぀増えおいるずうれしいです。

第1ç«  なぜ、ベトナムでチョコレヌトなのか

「ベトナムでチョコレヌト」ず聞いお、すぐにはピンずこない人は倚いず思いたす。私自身、䜏み始めた圓初はそうでした。ベトナムずいえばコヌヒヌの囜、ずいう印象で、チョコレヌトの囜ずいう感芚はたったくありたせんでした。

ずころが調べおみるず、知識ずしおの順序が逆でした。チョコレヌトの原料であるカカオは、コヌヒヌず同じ熱垯の䜜物で、赀道を挟んだ南北およそ20床の垯、いわゆる「カカオベルト」の䞭でしか育たないそうです。ベトナム南郚は、ちょうどこのカカオベルトに収たっおいたす。気候ずしおは、カカオを育おるのに向いた土地だずいうこずでした。

カカオの朚は、けっこう繊现な怍物だず蚀われおいたす。匷い盎射日光や也燥に匱く、ある皋床の日陰ず、高い湿床、安定した雚を必芁ずするそうです。ベトナム南郚の高枩倚湿な気候や、メコンデルタのように氎が豊かな土地は、この条件に合っおいるずのこずでした。実際、カカオ蟲家の倚くは、ココナッツやフルヌツの朚の間にカカオを怍える「混䜜」ずいう圢で育おおいるそうです。限られた土地を有効に䜿い、収入源を分散させる工倫なのだろうず思いたす。

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

では、なぜベトナムのカカオが長いあいだ知られおこなかったのか。これも調べおみるず、100幎以䞊前たでさかのがる話でした。

ベトナムにカカオが持ち蟌たれたのは、19䞖玀の終わり、フランス怍民地時代のこずだそうです。蚘録に残る叀い栜培は1870幎代で、フランス人のカトリック神父が、メコンデルタの土地に苗を怍えたず蚀われおいたす。メコン川が䞊流から運んできた土砂が積もっおできた、豊かな土壌の地域です。コヌヒヌもゎムもコショりも、フランスはこの怍民地でさたざたな䜜物を詊しおいお、カカオもそのひず぀だったようです。

ただ、フランスのカカオ栜培は、うたくいかなかったずされおいたす。1907幎には、怍民地圓局がカカオ生産者ぞの奚励金を廃止しおしたったそうです。理由は、儲からなかったから。ゎムやコヌヒヌに比べお、カカオは手間のわりに利益が出にくかった、ずいうこずのようです。こうしおベトナムのカカオは、その埌数十幎、ほずんど忘れられた存圚になり、メコンデルタの䞀郚で现々ず栜培・消費される皋床になっおいったず蚀われおいたす。

぀たりベトナムのカカオには、「䞀床はじたっお、䞀床あきらめられた」歎史があるわけです。この空癜の長さが、ベトナムがカカオの囜ずしお知られおこなかった倧きな理由なのだろうず、調べおいお思いたした。土地の条件はあったのに、経枈的な事情で、その可胜性が長らく眠っおいた、ずいうこずのようです。

ベトナムに䜏んでいるず、「コヌヒヌは飲むけれど、チョコレヌトはあたり食べない」ずいう感芚が、地元の人々の間に根匷いこずに気づきたす。コヌヒヌは、朝も昌も、路䞊の䜎い怅子に座っお䜕杯も飲むほど、生掻に溶け蟌んでいたす。䞀方でチョコレヌトは、長らく茞入物の莈り物か、子ども向けのお菓子ずいう䜍眮づけでした。カカオを育おおいる囜でありながら、そのカカオが自囜の䞊質なチョコレヌトになっお返っおくる、ずいう発想は、ごく最近たであたりなかったのです。原料はあるのに、それを楜しむ補品の文化がなかった。このねじれが、ベトナムのチョコレヌトの物語を、少し面癜くしおいるように思いたす。

状況が動き出すのは、20䞖玀の終わりから21䞖玀にかけおだそうです。政府や囜際的な揎助機関が、カカオを蟲家の新しい収入源ずしお埌抌しし、2000幎代に入っお栜培面積が広がったずのこず。この時期に怍えられたカカオが、のちのベトナム産チョコレヌトの原料になっおいきたす。

興味深いのは、ベトナムのカカオが「量」ではなく「質」で泚目され始めた、ずいう点でした。䞖界のカカオ生産量の䞻圹は西アフリカで、ベトナムの生産量は䞖界党䜓のごくわずかにすぎないそうです。量では、ずおも勝負になりたせん。ずころが、ベトナム南郚で採れるカカオには、銙りや酞味に個性があり、少量でも䟡倀のある「ファむンフレヌバヌカカオ颚味に優れたカカオ」ずしおの評䟡があるずのこずでした。

この「少ないけれど質が良い」ずいう立ち䜍眮が、あずで曞くベトナムのチョコレヌトの物語党䜓を貫くキヌワヌドになりたす。安いチョコレヌトで量を売るのではなく、少量で個性的な、付加䟡倀の高いチョコレヌトを぀くる。その方向に進んだからこそ、䞖界の愛奜家の目に留たった、ずいうこずのようです。

旅行者の目線でいうず、このこずは意倖ず倧事だず思いたす。倚くの人のホヌチミン旅行は、ベンタむン垂堎で買い物をしお、ドンコむ通りを歩き、統䞀䌚堂や戊争蚌跡博物通を芋お、䞀日はメコンデルタツアヌに出かける、ずいった組み立おになりたす。その合間に、カフェでベトナムコヌヒヌを飲む。これが定番の流れです。そこに「ベトナム産のチョコレヌト」ずいう遞択肢が加わるず、コヌヒヌず同じ感芚で、もうひず぀楜しめるものが増えたす。カフェでコヌヒヌを味わうように、チョコレヌト専門店で板チョコを遞ぶ。そういう時間が、無理なく旅皋に収たるようになったのです。

私がホヌチミンに来た14幎前、街にはただベトナム産のチョコレヌトは、ほずんど芋かけたせんでした。スヌパヌに䞊ぶのは、茞入物のチョコレヌトばかり。それがこの十数幎で、ずいぶん倉わりたした。ベトナムのカカオで぀くられ、ベトナムで補造されたチョコレヌトが、専門店を構え、旅行者のお土産の候補に入るようになったのです。コヌヒヌの囜ずいうむメヌゞの隣に、チョコレヌトずいう新しい顔が、少しず぀加わっおきたした。

第2ç«  カカオはどこで育぀のか ―― ベトナムの産地の話

この蚘事を読んだあなたぞ

珟地の䞍明点は LINE で日本語スタッフに盞談できたす。

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チョコレヌトの䞖界では、「テロワヌル」ずいう蚀葉がよく䜿われるそうです。土壌や気候ずいった、その土地ならではの条件が、味に衚れるずいう考え方です。もずもずはワむンの蚀葉ですが、私にずっおは、コヌヒヌのほうがしっくりきたす。

ベトナムに䜏んでいるず、コヌヒヌの産地の話は、生掻の䞭で自然ず耳に入っおきたす。䞭郚高原のブオンマトヌトのコヌヒヌはこう、ダラットの高地で育぀アラビカはこう、ずいった具合に、同じベトナムのコヌヒヌでも、産地によっお味が違うずいう話を、地元の人はごく圓たり前にしたす。コヌヒヌの䞀倧生産囜であるベトナムでは、「産地で味が倉わる」ずいう感芚が、コヌヒヌを通じおすでに根づいおいるのです。カカオも、たったく同じでした。育った土地によっお、味が倉わる。コヌヒヌで銎染んだこの感芚を、そのたたチョコレヌトに持ち蟌めるのが、私にはわかりやすく感じられたした。

ベトナムのカカオ栜培の「発祥の地」ずされるのは、メコンデルタのベンチェBen Tre省だそうです。ホヌチミンから南西ぞ車で走った先にある、ココナッツの産地ずしおも知られる氎郷地垯です。ここのカカオは、メコン川が運ぶ豊かな土壌を背景に、穏やかな酞味ずマむルドな颚味を持぀ず蚀われおいたす。今もベトナムのカカオの象城的な産地であり続けおいるずのこずでした。ちなみに、旅行者に人気のメコンデルタツアヌで蚪れる゚リアも、このあたりです。倚くの日垰りツアヌは、ミトヌMy Thoやベンチェを目指したす。ツアヌの定番であるココナッツキャンディの補造芋孊も、実はこのベンチェのココナッツ文化の䞀郚です。カカオもココナッツも同じ土地の恵みだず思うず、い぀ものメコンデルタツアヌの景色が、少し違っお芋えおくるかもしれたせん。

同じメコンデルタでは、ティ゚ンザンTien Giang省も重芁な産地だそうです。州郜のミトヌは、ホヌチミンから最も近いメコンデルタの入り口にあたり、メコン川ツアヌの定番の目的地です。

実は、私がベトナムのカカオず最初に出䌚ったのも、メコンデルタでした。家族でメコン方面ぞ小旅行に行ったずきのこずです。ツアヌではなく、車をチャヌタヌしお、自分たちのペヌスで自由に回る旅でした。その途䞭、ドンタップDong ThapにあるKimmy's Chocolatierキミヌズ・チョコラティ゚ずいう、小さなチョコレヌト工堎に立ち寄りたした。そこで䞀杯のココアを出しおもらいたした。枩かくお、玠朎で、思っおいたよりずっず矎味しい䞀杯でした。垂販の粉末ココアずは違う、カカオそのものの銙りが立぀味だったのを、今でも芚えおいたす。ベトナムのカカオに察する私の芋方を少し倉えたのは、Marouの板チョコよりも先に、この䞀杯だったかもしれたせん。

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

メコンデルタから内陞に目を移すず、産地の性栌が少し倉わるようです。ホヌチミンの東のドンナむDong Nai省や、ビヌチリゟヌトで知られるブンタりを擁するバリア・ブンタりBa Ria-Vung Tau省も、カカオの産地だそうです。調べおみるず、バリア・ブンタりにはカカオの品皮研究の拠点もあり、どの品皮がベトナムの気候や土壌に合うのかを研究しおきた歎史があるずのこずでした。

さらに暙高を䞊げるず、䞭郚高原のダクラクDak Lak省やラムドンLam Dong省がありたす。ダクラクはコヌヒヌの䞀倧産地ずしお有名ですが、カカオも育おられおきたそうです。ラムドンは避暑地ダラットのある高原で、アラビカコヌヒヌの産地でもありたす。カカオもコヌヒヌも、䌌たような土地で育぀のだな、ず、産地の名前を䞊べおいお思いたした。ダラットは、ホヌチミンから足を延ばす旅行先ずしおも人気の高原郜垂です。涌しい気候ず花や野菜の産地ずしお知られおいたすが、その足元でカカオも育っおいるず思うず、旅の芋え方が少し倉わっおきたす。

こうしお産地を䞊べおみるず、ベトナムのカカオが、南のメコンデルタの氎郷から、内陞の平原、そしお䞭郚高原たで、かなり広い範囲で、しかも暙高も気候も違う土地で育っおいるこずがわかりたす。西アフリカのように、広倧な単䞀の産地で倧量に均䞀なカカオを育おるのずは、成り立ちがずいぶん違うようです。この「小さくお倚様」ずいう特城が、産地ごずに味を分けお぀くるビヌンズ・トゥ・バヌの぀くり手にずっおは、ちょうど良い個性の幅になる。量では䞍利なベトナムが、質ず倚様性で存圚感を出せおいるのは、この囜土の倚圩さのおかげなのだろうず、調べおいお思いたした。

カカオの品皮に぀いおも、少し調べおみたした。倧きく分けお䞉぀の系統があるそうです。銙りに優れるけれど育おにくいクリオロ皮、䞈倫で量産に向くけれど颚味は玠朎なフォラステロ皮、そしおその䞡者を掛け合わせたトリニタリオ皮。ベトナム南郚で育おられおいるのは、䞻にこのトリニタリオ系だず蚀われおいたす。バランスが良く、埌で曞く「ビヌンズ・トゥ・バヌ」の぀くり手に奜たれるそうです。ベトナムのトリニタリオ系のカカオは、新鮮な果実を思わせる酞味や、ずきに花のような銙りを持぀、ず玹介されおいたした。

味を決めるのは、品皮ず土地だけではないようです。調べおみるず、収穫したあずの「発酵」の工皋が、颚味を倧きく巊右するずのこずでした。カカオの実の䞭には、癜い果肉に包たれた皮が入っおいお、この皮を果肉ごず数日間発酵させ、倩日で也かす。この発酵ず也燥のやり方で、同じ畑のカカオでも、できあがる銙りが倉わっおしたうそうです。ベトナムのチョコレヌトが評䟡されおいる理由のひず぀は、この発酵をおいねいに管理しおいるずころにある、ず玹介されおいたした。カカオの実は、ラグビヌボヌルのような圢で、朚の幹に盎接ぶら䞋がるようにしお実るそうです。枝先ではなく幹に実がなるずいうのは、写真で芋るず少し䞍思議な光景でした。

ただ、ベトナムのカカオには、明るい話ばかりではない䞀面もあるようです。調べおみるず、栜培面積は2012幎ごろをピヌクに、倧きく枛っおきたずのこずでした。ピヌク時に2侇5千ヘクタヌル以䞊あった面積が、その埌数千ヘクタヌル芏暡たで萜ち蟌んだそうです。理由は、カカオの䟡栌が䞍安定なこずに加えお、ドリアンやアボカドずいった、より収益性の高い果物に蟲家が乗り換えたこずが倧きいず蚀われおいたす。カカオの朚は、怍えおから実が取れるたで数幎かかるうえ、䟡栌も䞊䞋する。すぐに高く売れる果物のほうぞ流れるのは、蟲家にずっお自然なこずなのだろうず思いたす。だからこそ、぀くり手が蟲家ず盎接契玄し、通垞より高い䟡栌で買い取る取り組みを進めおいる、ずいう話も目にしたした。䞀枚の板チョコの倀段の䞀郚は、こうしお産地を支えるためのものでもあるのかもしれたせん。

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第3ç«  Marouが倉えたもの ―― 二人のフランス人の話

ベトナムのチョコレヌトを語るうえで、Marouマルゥは倖せない存圚です。このブランドの登堎が、「ベトナムチョコレヌト」ずいうむメヌゞを、䞖界に察しお倧きく広げたず蚀われおいたす。

調べおみるず、Marouが生たれたのは2011幎。創業したのは、サミュ゚ル・マルタずノィンセント・ムヌルヌずいう、二人のフランス人だそうです。ブランド名の「Marou」は、二人の名字、マルタMarutaずムヌルヌMourouを組み合わせたものずのこず。

面癜いのは、二人がもずもずチョコレヌトの専門家でも、食品業界の人間でもなかったずいう点でした。マルタは金融の䞖界にいた人で、家族ずサむゎンに移り䜏んでいた。ムヌルヌは、サンフランシスコの広告業界のキャリアを離れお、ベトナムに来おいた。この二人が、ベトナム南郚でのアりトドアの䜓隓のような堎で出䌚い、意気投合したず䌝えられおいたす。畑違いの二人が異囜で出䌚っお始めた、ずいうのは、なかなか面癜い始たり方だず思いたした。

玠人だったからこそ、ずいうずころも、この話の面癜いずころだず思いたす。もし二人が本堎ペヌロッパのプロのショコラティ゚だったら、「良いチョコレヌトは、䌝統的な産地のカカオで぀くるもの」ずいう垞識から入っおいたかもしれたせん。ずころが、その先入芳がなかった二人は、目の前のベトナムのカカオを、ただ玠盎に「これは矎味しいチョコレヌトになる」ず受け止めた。倖から来お、業界の垞識に瞛られおいなかったからこそ、長らく芋過ごされおきた玠材の良さに気づけた、ずいう芋方もできそうです。ものごずの䟡倀は、内偎にいる人より、倖から来た人のほうがよく芋えるこずがある。Marouの話は、その䞀䟋のように感じたした。

二人は、ベトナムでカカオが育っおいるこずを知り、興味を持ちたす。バリア省のカカオ蟲園を蚪ね、このカカオが䞊質なチョコレヌトになりうるず感じた、ずのこず。100幎以䞊のあいだ、あたり泚目されおこなかった玠材の䟡倀に、倖から来た二人が気づいた、ずいう話です。

圌らは、最初は自宅の台所で、手探りでカカオ豆を焙煎するずころから始めたそうです。ベトナム南郚の各地を回り、蟲家を蚪ね、少しず぀豆を集めおは詊䜜を繰り返す。どの産地の、どんな豆が、どんな味になるのか。前䟋が少ない䞭で、自分たちの舌でベトナムのカカオを確かめおいったず蚀われおいたす。この地道な䜜業が、のちの「産地ごずに板チョコを分ける」ずいう発想に぀ながっおいったようです。

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

Marouが打ち出したのは、「シングルオリゞン」ずいう考え方だそうです。耇数の産地のカカオを混ぜるのではなく、ひず぀の産地のカカオだけでチョコレヌトを぀くる。コヌヒヌで、産地ごずに豆を分けお売るのず、同じ発想だず思うずわかりやすいです。Marouはベトナム南郚の耇数の省からカカオを仕入れ、産地ごずに板チョコを分けお぀くりたした。ティ゚ンザン、ベンチェ、ドンナむ、ラムドンずいった産地名が、そのたた商品名になっおいたす。同じベトナム産でも、産地が違えば味が違う。その違いそのものを商品にした、ずいうわけです。

調べたずころ、たずえばティ゚ンザン産は明るい果実味、ドンナむ産は苊みず南囜のフルヌツを思わせる銙り、ラムドン産にはこの地域のアラビカコヌヒヌを合わせた䞀枚もあるそうです。カカオの含有率も、64%から80%近くたで、商品によっおさたざた。板チョコを䜕枚か䞊べお食べ比べるず、同じ囜のカカオずは思えないほど、味に幅がありたす。

Marouの評䟡を広げたのは、䞖界のコンテストでの受賞だそうです。創業から2幎埌の2013幎、ティ゚ンザン70%の板チョコが、ロンドンのアカデミヌ・オブ・チョコレヌト・アワヌドで銀賞を受けたずのこず。その埌も、ロンドンのアカデミヌ・オブ・チョコレヌトやむンタヌナショナル・チョコレヌト・アワヌドずいった品評䌚で、金・銀・銅のメダルを重ねおいったず玹介されおいたした。海倖のメディアも、ベトナム発のこの小さなブランドを取り䞊げ、「ベトナムに、䞖界に通甚するチョコレヌトがある」ずいう話が広がっおいったようです。創業からわずか数幎で、䞖界の愛奜家に名前が届いた、ずいうスピヌド感も、圓時ずしおはめずらしいものだったのだろうず思いたす。玠人同然の二人が台所で始めたものが、これだけの評䟡を埗た、ずいう筋曞きは、それだけで人を惹き぀けるものがありたす。

私がMarouの板チョコを初めお食べお、倀段に身構え、味に玍埗したのは、ちょうどこのブランドが評䟡を固めおいく時期でした。あのずき感じた「倧人向けのチョコレヌトだ」ずいう印象は、それほど的倖れではなかったのだな、ずあずで知りたした。苊みず酞味をあえお前に出す、シングルオリゞンならではの味づくり。それは、甘さで勝負する埓来のチョコレヌトずは、少し違うものでした。

もうひず぀、Marouで印象的だったのは、芋せ方でした。ベトナムの䌝統的な暡様を取り入れた、おいねいに仕䞊げられた包み玙。産地名を䞻圹にしたブランドデザむン。ホヌチミン䞭心郚の、萜ち着いた雰囲気の旗艊店。これらが䞀䜓ずなっお、「ベトナム産チョコレヌト」に、それたであたりなかった高玚感ず物語を䞎えた、ず感じたす。私が店舗のたたずたいに感じた高玚感は、こうしたブランドづくりの結果だったのだろうず思いたす。

旗艊店の話も、少し補足しおおきたす。調べおみるず、Marouはホヌチミン䞭心郚に「メゟン・マルゥ」ずいうカフェ䜵蚭の旗艊店を構えおいお、ここがベトナムのチョコレヌトを䜓隓する入り口ずしお、倚くの旅行者に知られおいるようです。ベンタむン垂堎の近くずいう立地もあっお、垂内芳光の合間に立ち寄りやすい。チョコレヌトを買うだけでなく、コヌヒヌやデザヌトを楜しみ、぀くる工皋を眺める。か぀おは茞入物か子ども向けのお菓子でしかなかったチョコレヌトが、倧人がゆっくり時間を過ごすための堎所ぞず、䜍眮づけを倉えおいったのだず思いたす。この堎所に぀いおは、第6章であらためお玹介したす。

Marouが芋せおくれたのは、ベトナムずいう囜が、安さや量ではなく、質ずデザむンず物語でも勝負できる、ずいうこずでした。ベトナムのコヌヒヌが、「安くお濃い日垞の飲み物」から、産地や淹れ方にこだわるものぞず広がっおきた流れず、どこか重なる話だず思いたす。原料を売るだけでなく、その原料を自囜で䟡倀ある補品に倉えおいく。Marouは、その䞀䟋ずしお、わかりやすい存圚でした。

第4ç«  Marouだけではない ―― 広がるベトナムのチョコレヌト

Marouがベトナムのチョコレヌトを知らしめたあず、その埌を远うように、いく぀ものブランドが登堎したそうです。今のホヌチミンには、Marou以倖にも個性のあるチョコレヌトがいく぀もありたす。この章では、調べる䞭で知ったブランドを、いく぀か玹介したいず思いたす。

たず、アルノィアAlluviaです。名前は、沖積土壌alluvial soilに由来しおいるそうです。その名のずおり、メコンデルタのティ゚ンザン省の土地でカカオを育お、そこからチョコレヌトたでを䞀貫しお぀くる、家族経営のブランドずのこず。ティ゚ンザンのカカオを䜿ったチョコレヌトは、明るくフルヌティヌで、南囜らしい颚味が特城だず玹介されおいたした。アルノィアは自瀟の蟲園や工堎を芋孊者に開攟しおいお、カカオの収穫から加工たでの工皋を、実際に芋お䜓隓できるそうです。メコンデルタツアヌの延長で、カカオに觊れられる堎所がある、ずいうのは、旅行者にずっおうれしい話だず思いたす。

次に、ベルノィヌBelvieです。ホヌチミンを拠点ずするブランドで、片方がベルギヌにルヌツを持぀二人が蚭立したそうです。その名のずおり、ベルギヌのチョコレヌトづくりの技術ず、ベトナムのカカオを組み合わせおいる。ベンチェ、ドンナむ、ラムドンずいった産地の蟲家ず盎接やり取りをしお豆を仕入れ、手䜜業で仕䞊げおいるずのこずでした。チョコレヌトの本堎ペヌロッパの技術が、ベトナムの玠材ず出䌚うず䜕が生たれるのか。そんな芖点で芋るず面癜いブランドです。

そしお、日本人ずしおうれしかったのが、ビノン・カカオBinon Cacaoの存圚です。調べおみるず、ビノンはベトナムのカカオに惚れ蟌んだ日本人が立ち䞊げたブランドで、ホヌチミンから車で2時間匱のバリア・ブンタり省に、蟲園ず工堎を兌ねた「ビノン・カカオ・パヌク」を構えおいるそうです。䜿っおいるカカオは、発祥の地ずされるベンチェ産。畑からチョコレヌトたでを手がける「ファヌム・トゥ・バヌ」を掲げおいるずのこず。日本人が、ベトナムの土地でベトナムのカカオを䜿っおチョコレヌトを぀くる。二぀の囜が亀わるこの取り組みには、勝手に芪近感を芚えおしたいたす。ビノンでの䜓隓に぀いおは、第6章であらためお玹介したす。

こうしたブランドが䞊ぶようになっお、ベトナムのチョコレヌトは、Marouだけのものではなくなっおきたようです。それぞれのブランドが、それぞれの産地、補法、物語を持っお共存しおいる。あるブランドは果実味を、あるブランドは苊みを、あるブランドはなめらかな口どけを倧事にする。同じベトナム産のカカオでも、぀くり手が倉われば、違うチョコレヌトになりたす。

これらのクラフトのブランドずは別に、産業甚のチョコレヌトの䞖界でも、ベトナム産カカオの評䟡は䞊がっおいるようです。調べおみるず、ペヌロッパの補菓材料メヌカヌが、ベトナム産カカオを䜿った補菓甚チョコレヌトを商品にしおいる䟋もあるずのこずでした。パティシ゚やパン職人がケヌキや焌き菓子に䜿うためのもので、私たちが街のカフェやベヌカリヌで口にするスむヌツの䞭に、知らないうちにベトナム産カカオが入っおいる、ずいうこずも起きおいるのかもしれたせん。䞖界のプロが玠材ずしお遞ぶずいうのも、ベトナムのカカオが評䟡されおいる、ひず぀の衚れだず思いたす。

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

これは、以前このメディアで曞いたバむンミヌの話ず、少し䌌おいたす。バむンミヌも、屋台ごず、店ごずに味が違い、その倚様さが魅力でした。ベトナムのチョコレヌトにも、ひず぀の「正解」があるわけではなさそうです。ブランドを食べ比べお、自分の奜みの䞀枚を芋぀けおいくずころに、面癜さがありたす。板チョコだけでなく、カカオニブを䜿ったお菓子や、チョコレヌトを䜿ったドリンク、生チョコのような柔らかいものたで、商品の幅も広がっおいるようです。旅行者ずしおは、たず有名なMarouを䞀枚買っおみお、気に入ったら他のブランドにも手を䌞ばしおみる、ずいう順番がわかりやすいず思いたす。専門店をのぞくず、名前を知らないブランドの板チョコがいく぀も䞊んでいお、そのどれもがベトナムのカカオでできおいる、ずいう状況自䜓が、この十数幎の倉化を物語っおいるように感じたす。

もちろん、これらのチョコレヌトは、屋台のバむンミヌのように誰もが毎日食べるものではありたせん。䟡栌を考えれば、特別な日のための、あるいは莈り物ずしおのチョコレヌトです。でも、それでいいのだず思いたす。ベトナムのチョコレヌトは、日垞の食べ物ではなく、この囜の新しい「顔」ずしお、少し背䌞びした堎所に立っおいる。そういう商品が囜産で育っおきたこず自䜓が、この囜の倉化を衚しおいるように思いたす。

第5ç«  ビヌンズ・トゥ・バヌずは ―― 「倧人のチョコレヌト」の䞭身

ここたで䜕床か「ビヌンズ・トゥ・バヌ」ずいう蚀葉を䜿っおきたした。調べたこずをもずに、少し説明しおおきたいず思いたす。

ビヌンズ・トゥ・バヌbean to barずは、文字どおり「豆beanから板チョコbarたで」ずいう意味だそうです。カカオ豆の遞定ず仕入れから、焙煎、皮むき、すり぀ぶし、砂糖ずの調合、なめらかにする工皋、そしお板チョコに固めるたで、そのすべおを䞀぀の぀くり手が䞀貫しお手がける補法を指すずのこずでした。

これがなぜ特別なのかは、䞀般的なチョコレヌトの぀くられ方ず比べるずわかりやすいそうです。䞖の䞭に倚く出回るチョコレヌトは、倧きなメヌカヌが、産地の異なるカカオを倧量に混ぜ合わせ、均䞀な味に仕䞊げお぀くるこずが倚い。安定した味を安く倧量に䟛絊するには、それが合理的なのだろうず思いたす。ただ、その過皋で、どの畑のカカオがどんな味を持぀か、ずいう個性はならされおしたう、ず玹介されおいたした。

ビヌンズ・トゥ・バヌは、その逆だそうです。あえお産地を絞り、そのカカオの個性を消さずに匕き出す方向で぀くる。だから、第2章で曞いた「産地ごずの味の違い」や「発酵による銙りの違い」が、そのたた板チョコに衚れる。コヌヒヌを産地や銘柄で遞ぶのず同じ感芚で、チョコレヌトを遞べるようになるわけです。これが、ベトナムのチョコレヌトを面癜くしおいる仕組みなのだず、調べおいお玍埗したした。

工皋も、もう少し調べおみたした。発酵ず也燥を経たカカオ豆は、たず焙煎される。ここはコヌヒヌず考え方が近いそうです。次に、焙煎した豆の倖皮を取り陀き、䞭身を砕いた「カカオニブ」を取り出す。これをすり぀ぶすず、カカオの脂肪分カカオバタヌが溶け出しお、どろりずしたペヌストになる。ここに砂糖を加え、長い時間をかけおなめらかになるたで緎り䞊げる。この「緎り」が口どけを巊右するずのこず。最埌に、枩床を調敎しながら型に流し、冷やし固める。この枩床調敎テンパリングがうたくいくず、衚面に぀やが出お、割ったずきにパキッず音がするそうです。䞀枚の板チョコの背埌に、これだけの手間があるずは、正盎、調べるたで知りたせんでした。ドンタップの工堎で飲たせおもらったあの枩かいココアも、こうした工皋のどこかで生たれた䞀杯だったのだな、ず、あずになっお思いたした。板チョコになる前の、ただ玠朎な段階のカカオを味わえたのだず思うず、あの䞀杯が、少し特別なものに感じられたす。

では、なぜベトナムのチョコレヌトは「倧人っぜい」味になるのか。これも調べおみるず、理由がいく぀かあるようでした。

ひず぀は、カカオの含有率の高さだそうです。街で売られる䞀般的なミルクチョコレヌトは、カカオの含有率が30%台のものも倚く、残りは砂糖やミルク。だから甘さが前に出たす。䞀方、ベトナムのチョコレヌトは、カカオ70%前埌、高いものでは80%近いものも倚い。砂糖の割合が少なく、カカオそのものの味が前に出る。圓然、甘さより苊みや酞味が䞻圹になりたす。私がMarouを初めお食べたずきの「甘いだけじゃない」ずいう印象は、この含有率の高さから来おいたようです。

もうひず぀は、トリニタリオ皮のカカオが持぀、酞味ず銙りの豊かさだそうです。第2章で曞いたように、ベトナム南郚のカカオには、果実を思わせる酞味や、柑橘のような爜やかさがあるず蚀われおいたす。この個性を、おいねいな発酵ず、産地を絞ったビヌンズ・トゥ・バヌの補法が、そのたた板チョコに残す。結果ずしお、口に入れた瞬間に苊みが立ち、そのあずに果実味ず銙りが続く、耇雑な味わいになるずのこずでした。

パッケヌゞの「70%」ずいった数字の意味も、調べおみお、ようやくわかりたした。この数字は、チョコレヌトに含たれるカカオ由来の成分の割合だそうです。数字が高いほど砂糖が少なく、カカオの味が濃く、苊みが匷くなる。逆に䜎いほど甘さを感じやすい。ベトナムのチョコレヌトに初めお挑戊するなら、たずは65%前埌の食べやすいものから入り、慣れおきたら70%、75%ず濃いほうぞ進むのがよさそうです。

食べ方にも、少しコツがあるず玹介されおいたした。冷蔵庫から出しおすぐの冷たい状態でかじるのではなく、少し垞枩に戻しお、小さくひずかけら口に入れ、噛たずに舌の䞊で溶かしおみる。するず、溶けおいく過皋で味が倉化しおいくのがわかる、ずのこず。実際に詊しおみるず、最初の苊み、続く酞味、最埌の銙りの䜙韻ず、たしかに段階があっお、面癜い䜓隓でした。産地違いの板チョコを䜕枚か甚意しお食べ比べるず、その差がよくわかりたす。

飲み物を合わせるなら、意倖に思われるかもしれたせんが、ベトナムのブラックコヌヒヌがよく合うように感じたした。ベトナムはコヌヒヌの産地で、深く焙煎した濃いコヌヒヌが日垞的に飲たれおいたす。この苊いコヌヒヌず、含有率の高いチョコレヌトの苊みは、互いを匕き立お合うようです。甘い緎乳入りのカフェ・スア・ダヌず合わせお、苊みず甘さを察比させるのもいい。同じ囜で育ったカカオずコヌヒヌを䞀緒に味わうずいうのは、考えおみるず、少し莅沢な組み合わせです。旅行䞭であれば、街のカフェで買ったベトナムコヌヒヌず、専門店で買った板チョコを、ホテルの郚屋で䞀緒に味わっおみるのもおすすめです。掟手ではありたせんが、その土地の産物だけで完結する、ささやかな莅沢になりたす。

ベトナムのお土産、䜕を遞ぶ 長幎の悩みを解いおくれた「倧人のチョコレヌト」の話

ちなみに、カカオ含有率の高いチョコレヌトは、味の面癜さだけでなく、玠材そのものの性栌もあるようです。調べおみるず、カカオには苊みや銙りのもずになる成分が倚く含たれおいお、含有率が高いほど砂糖が少なく、少量でも満足感があるずのこずでした。䞀枚を䞀気に食べるずいうより、ひずかけらを味わっお䜙韻を楜しむ。そういう付き合い方が䌌合うチョコレヌトです。実際、ベトナムのチョコレヌトを買う人の倚くは、倧袋を䞀気に食べるのではなく、䞊質な䞀枚を少しず぀味わっおいるように芋えたす。この「少しを、じっくり」ずいう楜しみ方自䜓が、これたでのチョコレヌトのむメヌゞずは少し違う、新しいもののように思いたす。

「倧人のチョコレヌト」ずいう蚀葉を、私はこの蚘事で䜕床か䜿っおいたす。甘さを楜しむお菓子ずいうより、苊みや酞味の奥にある耇雑さを味わう、倧人向けの嗜奜品、ずいう意味です。コヌヒヌやお酒がそうであるように、ベトナムのチョコレヌトも、味の背景を知るほど面癜くなる、そういう皮類の食べ物のようです。そしお、その背景の物語が、この䞀枚を、ただの甘いお菓子から、少し語りたくなる䞀品にしおいるのだず思いたす。

第6ç«  どこで買い、どこで䜓隓するか ―― ホヌチミン実践ガむド

ここたで読んで、ベトナムのチョコレヌトを手に取っおみたくなった方のために、この章では、ホヌチミンでどこで買えお、どこで䜓隓できるのかを、具䜓的にたずめおおきたす。

たず、旅行者にずっお䞀番わかりやすい入り口が、メゟン・マルゥMaison Marouの旗艊店です。ホヌチミン1区のカルメットCalmette通りにあり、ベンタむン垂堎や矎術通からも歩ける、街の䞭心郚です。垂内芳光の぀いでに立ち寄りやすい堎所にありたす。ここはただの物販店ではなく、カフェを䜵蚭したチョコレヌトの耇合空間で、ガラス越しにチョコレヌトが぀くられる様子を眺められ、手づくりのデザヌトやドリンクも楜しめたす。営業時間は朝から倜たで長いので、旅行の合間に寄りやすいず思いたす。お土産甚の板チョコを買うにも、自分ぞのご耒矎に䞀杯楜しむにも、たず蚪れおみるずよい堎所です。Marouはホヌチミンだけでなく、ハノむ、ホむアン、ダナンなど各地に店舗があるそうなので、他の街を旅する方も出䌚う機䌚は倚いはずです。

じっくりカカオそのものを䜓隓したいなら、郊倖の蟲園型の斜蚭に足を延ばすのがおすすめです。第4章で觊れた、ビノン・カカオ・パヌクが、その代衚栌です。調べおみるず、ホヌチミンから車で2時間匱のバリア・ブンタり省にあり、日本人が立ち䞊げたブランドの蟲園兌工堎だそうです。

ビノン・カカオ・パヌクでの䜓隓を、もう少し具䜓的に玹介したす。ここではたず、カカオの畑を歩いお、朚に実が幹から盎接ぶら䞋がる様子を芋たり、栜培のこずを孊んだりできるそうです。そのあず工堎に移っお、収穫した豆が、発酵、也燥、焙煎を経お、板チョコになるたでの䞀連の工皋を芋孊できるずのこず。カカオの実を割っお、皮を包む癜い果肉をそのたた味わったり、焙煎したカカオニブを詊したりず、ふだん板チョコずしおしか知らないカカオを、いろいろな段階で味わえるのが特城のようです。さらに、自分の手で材料をあ぀かっお、オリゞナルのチョコレヌトバヌを぀くるワヌクショップもあるそうです。営業は火曜から日曜月曜䌑みで、ホヌチミンからの日垰りで蚪れるのが珟実的なようです。ビヌチリゟヌトのブンタりず組み合わせお、䞀泊の小旅行にしおもいいず思いたす。日本人が運営に関わっおいるため、蚀葉の面でも比范的安心しお参加できるずいう声も芋かけたした。手を動かしお自分でチョコレヌトを぀くる䜓隓は、子ども連れの家族旅行や、定番の垂内芳光ずは少し違うこずをしたいリピヌタヌに向いおいたす。景色を眺めるだけでなく、その土地の産物に自分の手で觊れる。そういう䜓隓は、モノのお土産以䞊に、長く蚘憶に残るこずが倚いように思いたす。

メコンデルタ方面なら、ティ゚ンザン省のアルノィアの蟲園・工堎も芋孊できるそうです。ホヌチミンからのメコン川ツアヌの倚くは、このティ゚ンザン省のミトヌを目指したす。定番のメコンデルタツアヌに、カカオずいう切り口が加わるず、同じ行き先でも䜓隓の奥行きが倉わっおきたす。メコン川の雄倧な景色や、怰子の葉が茂る氎路の舟䞋りず合わせお、カカオに觊れられるのは、ホヌチミン近郊ならではだず思いたす。私自身がドンタップのKimmy's Chocolatierで枩かいココアを飲んだのも、こうしたメコンデルタの小旅行の途䞭でした。あのずきは車をチャヌタヌしお、家族で自由に回っおいたので、ツアヌでは寄らないような小さな工堎にも、気たたに立ち寄るこずができたした。

日垞的にサッず買いたいなら、垂内の茞入食品を扱うスヌパヌマヌケットや、タン゜ンニャット空枯の売店でも、Marouなどの板チョコを芋぀けられたす。垰囜盎前に空枯で買えるのは、お土産ずしおは安心です。ただ、皮類の豊富さや、パッケヌゞの状態、䜓隓ずしおの満足床を考えるず、やはり専門店で買うのが䞀番だず思いたす。専門店なら、産地違いの板チョコを䞀枚ず぀遞んで、自分だけの詰め合わせを぀くるこずもできたす。

旅皋ぞの組み蟌み方も、少し考えおみたす。たずえば、垂内芳光の日に、ベンタむン垂堎やドンコむ通りでの買い物の぀いでに、カルメット通りのメゟン・マルゥに立ち寄っお、その堎でひず䌑みしながらお土産を遞ぶ。メコンデルタツアヌに行く日には、その土地がカカオの産地でもあるこずを頭の片隅に眮いおおく。もう少し時間ず奜奇心があれば、䞀日をカカオにあおお、ビノン・カカオ・パヌクやメコンデルタの工堎芋孊に出かける。こんなふうに、力の入れ具合に応じお、いく぀かの関わり方ができたす。垂内で軜く觊れるだけでも、䞀日かけおじっくり䜓隓するのでも、どちらでも成立するのが、ベトナムのチョコレヌトの間口の広いずころだず思いたす。

誰に、䜕を遞ぶか、ずいう点も少し考えおおくず、土産遞びが楜になりたす。チョコレヌトに詳しい人や、お酒やコヌヒヌが奜きな倧人に枡すなら、産地違いの板チョコを組み合わせた食べ比べのセットが喜ばれたす。盞手が自分で味の違いを芋぀ける楜しみを、莈れるからです。逆に、あたりチョコレヌトにこだわりのない盞手や、倧勢に配る堎合は、少し甘めで食べやすいものや、個包装のタむプが無難です。職堎ぞのばらたき甚ず、特に䞖話になった人ぞの䞀枚ずを、分けお遞ぶのが珟実的だず思いたす。専門店のスタッフに「誰に枡すか」を䌝えれば、たいおい合ったものを提案しおくれたす。

お土産ずしおの実甚的な話もしおおきたす。板チョコは、バむンミヌのパンや生鮮の食材ず違っお、日持ちがしお持ち運びやすいのが利点です。ただ、チョコレヌトなので熱には匱い。ベトナムの日䞭の暑さの䞭に長く眮くず、溶けたり、衚面が癜くなったりしたす。持ち歩くずきは涌しい堎所で保管し、垰囜の盎前に買うか、ホテルの冷蔵庫で保管するのが安党です。飛行機では、預け荷物より、機内持ち蟌みの手荷物に入れおおくほうが、枩床倉化が少なくお安心だず思いたす。䟡栌は、板チョコ䞀枚でおおむね数癟円から。バむンミヌの䜕倍もしたすが、「特別なお土産」ず考えれば、そこたで高いものではないず思いたす。枡した盞手が、産地の話や創業の物語たで䞀緒に楜しめる。そういう「話のタネ」たで぀いおくるお土産は、そう倚くありたせん。

第7ç«  ベトナムの「お土産問題」ず、チョコレヌトがもたらしたもの

最埌の章では、旅行の仕事に長く関わっおきた立堎から、専門的な話からは少し離れお、個人的に感じおきたこずを曞かせおください。

冒頭でも觊れたしたが、私はずっず、ベトナムの「お土産問題」に、地味な悩みを抱えおきたした。

日本から来た旅行者を案内しおいるず、旅の終わりに必ず出おくるのが「䜕を買っお垰ればいいか」ずいう質問です。䌚瀟の同僚に、家族に、友人に。ベトナムに行っおきた蚌ずしお、䜕か手枡したい。その気持ちはよくわかりたす。ずころが、これに自信を持っお答えるのが、長いあいだ難しかったのです。

お土産の定番ホヌチミンのおすすめチョコレヌト4遞
お土産の定番ホヌチミンのおすすめチョコレヌト4遞
高品質で知られるベトナムのカカオ。近幎そのカカオを甚いたチョコレヌトを補造するチョコレヌトブランドがベトナムで増えおきおいたす。その䞭からホヌチミン1区䞭心にある、おすすめ4ブランドを玹介したす。 その1Pheva Chocola...

もちろん、ベトナムにお土産がなかったわけではありたせん。コヌヒヌ、ドラむフルヌツ、カシュヌナッツ、蓮茶、アオザむやバッチャン焌きずいった雑貚。定番はいく぀もありたす。ただ、「埡圓地スむヌツ」ずなるず、少し話が別でした。その土地でしか買えなくお、日持ちがしお、芋た目も䞊品で、味も間違いない。そういうスむヌツの匕き出しが、どうにも少なかった。ベンタむン垂堎をお客さんず歩いおいおも、「これぞベトナムの定番スむヌツ」ず胞を匵っお蚀える䞀品が、なかなか芋぀かりたせんでした。

そのすき間を、ベトナム産のチョコレヌトが埋め始めおいたす。これは、旅行の仕事をしおいる人間ずしお、玠盎にうれしい倉化です。お客さんにベンタむン垂堎やドンコむ通りを案内しながら、「日本ぞのお土産なら、ベトナム産のチョコレヌトずいう手もありたすよ」ず、自信を持っお蚀えるようになった。それだけでも、長幎の小さな悩みが、ひず぀軜くなった気がしたす。

考えおみるず、チョコレヌトは、お土産スむヌツずしおの条件を、わりずよく満たしおいたす。日持ちがしお、暑ささえ避ければ垞枩で持ち運べる。板チョコはかさばらず、荷物にも入れやすい。パッケヌゞが敎っおいお、莈り物ずしおの栌奜が぀く。味は䞖界のコンテストで評䟡されたもので、しかも産地違いを食べ比べるずいう「䜓隓」たで枡せる。そしお、「これはベトナムのカカオから、ベトナムで぀くられたチョコレヌトですよ」ずいう物語がある。この物語が、お土産に説埗力を䞎えおくれたす。

もうひず぀、ベトナムのチョコレヌトは、この囜のむメヌゞを少しだけ広げおくれるように思いたす。ベトナムずいうず、安くお矎味しいロヌカルフヌドや、掻気のある街を思い浮かべる人が倚いはずです。それはこの囜の倧切な魅力です。そこに「䞊質なチョコレヌトを生み出す囜」ずいう䞀面が加わるず、ベトナムずいう囜の奥行きが、少し深くなる。安さや量ではなく、質ず物語で勝負するものが、この囜から生たれおいる。それを䞀枚の板チョコで䌝えられるのは、なかなか良いこずだず思いたす。

お土産を枡すずいうのは、ただモノを枡すこず以䞊の意味があるず、旅行の仕事をしおいお感じたす。枡す盞手に、その土地の話を少しだけ䌝える。それがお土産の圹割のひず぀です。その点で、ベトナムのチョコレヌトは、話のきっかけをたくさん持っおいたす。産地ごずに味が違うこず、100幎前に䞀床あきらめられたカカオが戻っおきたこず、倖から来た人がその䟡倀に気づいたこず。板チョコを䞀枚枡しながら、そんな話をひず぀添えるだけで、ベトナムずいう囜が、盞手の䞭で少しだけ立䜓的になる。そういう莈り物ができるようになったこずを、私はうれしく思っおいたす。

以前このメディアで曞いたメコンデルタツアヌの蚘事で、私は「倉わらないものの䟡倀」に぀いお考えたした。街が発展したからこそ、倉わらないメコンの颚景が、新しい意味を持った、ずいう話でした。ベトナムのチョコレヌトは、その反察偎を照らしおいるように思いたす。こちらは「新しく生たれたものの䟡倀」です。この囜が発展し、成熟しおいく䞭で、これたでなかった皮類の産業ず商品が育っおきた。100幎前にあきらめられたカカオが、新しい圢で戻っおきた。倉わらないメコンず、新しく生たれたチョコレヌト。その䞡方が同時にあるずころに、今のベトナムの面癜さがある気がしたす。旅行の組み立おずしおも、メコンデルタツアヌで「倉わらないベトナム」に觊れ、街なかのチョコレヌト専門店で「新しいベトナム」に觊れる。その䞡方を味わっおもらえたら、この囜の幅が、より立䜓的に䌝わるはずです。

旅の楜しみのかなりの郚分は、「その土地でしか手に入らないものに出䌚うこず」にあるず思いたす。䞖界䞭の郜垂が䌌た顔぀きになっおいく䞭で、旅先ならではの発芋は、幎々貎重になっおいたす。その点で、ベトナムのチョコレヌトは、「ここでしか出䌚えないもの」のひず぀です。ベトナムの土地で育ったカカオを、ベトナムで補品にし、ベトナムの暡様で包む。原料から仕䞊げたで、この囜のものです。だからこそ、お土産ずしお手枡したずきに、説埗力が生たれたす。旅行者が本圓に喜ぶのは、有名だから買うものではなく、「これはこの囜でしか出䌚えなかった」ず思えるものなのだず、案内を続けおきお感じおいたす。

課題がないわけではありたせん。第2章で曞いたように、カカオを育おる蟲家は枛っおきおいるそうです。良いカカオを安定しお確保できるかどうかは、ベトナムのチョコレヌトの先行きを巊右する、小さくない問題のようです。だからこそ、私たち消費者や旅行者が、こうしたチョコレヌトを遞び、買い、味わうこず自䜓が、間接的にこの産業を支えるこずに぀ながるのだろうず思いたす。䞀枚の板チョコの向こうには、メコンの畑ず、それを育おる蟲家ず、それをチョコレヌトに倉える぀くり手がいる。その぀ながりを思い浮かべながら味わうず、同じ䞀枚が、少し違っお感じられるかもしれたせん。

旅行者にできるこずは、そう倧きなこずではないかもしれたせん。旅の途䞭で䞀枚買っお垰る。工堎芋孊に立ち寄っおみる。お土産に遞んで、誰かに枡しおみる。それくらいのこずです。でも、そういう小さな関わりの積み重ねが、この若い産業を、少しず぀埌抌しするこずになるのだず思いたす。私自身、ドンタップで枩かいココアを飲んだあの日から、ベトナムのカカオのこずが、なんずなく気になり続けおきたした。旅先での小さな出䌚いが、その土地ぞの興味を長く残しおくれる。ベトナムのチョコレヌトは、旅行者にずっお、そういうきっかけにもなり埗るものだず思いたす。

゚ピロヌグ ―― あの䞀杯のココアから

この蚘事を最埌たで読んでくださった方に、ひず぀だけお䌝えしたいこずがありたす。

ベトナムのチョコレヌトは、ただ歎史の浅い、若い産業のようです。100幎以䞊前に䞀床あきらめられたカカオが、この十数幎で、少しず぀圢になっおきたした。私はその倉化を、ホヌチミンに䜏みながら、旅行の仕事をしながら、なんずなく眺めおきたした。ドンタップの小さな工堎で枩かいココアを飲んだあの日や、初めおMarouの板チョコを買ったあの日から、ずいぶん時間が経ったのだな、ず思いたす。

甘いだけではない、苊みず酞味のあるチョコレヌト。ベトナムの暡様をたずった䞀枚。産地ごずに味が違い、食べ比べる楜しみがある。畑を蚪ね、぀くる工皋を芋お、枩かいカカオを味わえる䜓隓。そしお、旅の終わりに誰かぞ手枡せる、物語のあるお土産。ベトナムのチョコレヌトは、そのどれもを、少しず぀備えおきおいるように思いたす。

ホヌチミンに来たら、ぜひ䞀枚、手に取っおみおください。できれば、冷やしすぎず、垞枩に戻しお、ひずかけらを舌の䞊でゆっくり溶かしおみおください。最初に苊みが来お、そのあず果実味ず銙りが続く、あの味わいを、確かめおもらえたらず思いたす。その䞀口の背景には、䞀床あきらめられ、新しい䞖代の手で戻っおきたカカオの歎史がありたす。それを少し知っお味わうず、同じ䞀かけらが、違っお感じられるかもしれたせん。

もし気に入ったら、産地の違う板チョコを䜕枚か買っお垰っおください。枡す盞手に、これはベトナムのカカオで぀くられたチョコレヌトなんですよ、ずひずこず添えお。きっず、ただのお菓子を枡す以䞊の䌚話が、その䞀枚から自然ず生たれるはずです。

150円のバむンミヌず、数癟円の䞀枚の板チョコ。倀段はずいぶん違いたすが、どちらも同じベトナムの土地から生たれた、この囜らしい䞀品です。屋台のパンず、萜ち着いた雰囲気の板チョコが、同じ囜の䞭に䞊んでいる。定番のメコンデルタツアヌで「倉わらないベトナム」に觊れ、街なかのチョコレヌト専門店で「新しいベトナム」に觊れる。その䞡方を行き来しおもらえたら、この囜の幅が、より立䜓的に䌝わるはずです。次にホヌチミンを蚪れるずきは、その䞡方を、ぜひご自身の舌で確かめおみおください。

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